龍門の滝 [栃木県那須郡烏山町]

Ryumon no taki



龍門の滝 龍門の滝

訪問記
 この滝を訪れてみようと思ったのは、もよりのJR烏山線の駅名が、率直に滝であったからである。 烏山線は宇都宮駅から出ている。宇都宮駅は日光線の起点でもあるからよく利用しているほうであるが、いつも時間に追われ て通過するだけであるから、反対側のホームからでている烏山線というローカル線の存在はこれまで気にも止めなかった。 ちょうど青春18切符の利用できる時期になったので久しぶりに気楽な散策をしようという気持ちになった。
 京浜東北線は人身事故とのことで都心の電車は大幅に遅れていたが、上野からは順調だった。9時過ぎに宇都宮駅につい た。ホームに降りると、上野行きの快速ラビットが発車時刻を待っていた。 反対の10番線に止まっている9時10分発各駅停車烏山行きは、予想したとおり2両編成ディーゼルカーであった。2ドア、向かい合わせの 長いシートの車両である。
 発車してしばらくは、東北線のレールを走る。2つめの宝積寺から単線に入ると風景はローカル線のものとなる。 線路を取り巻く水田の稲は、まだ穂がなく緑一色、芝生の絨毯のようだ。山を登り始めるとエンジン音はひときわ高まる のもディーゼルならではなら、下りに転ずると先ほどまでのもたつきがうそのように快調に滑っていく。小さなトンネルを越える と、滝駅に停まった。
 乗降客は私一人、駅は無人駅である。ホームのすぐ横にある踏み切りを渡り、県道に沿って歩いていく。民家の裏の林の 中では蝉の泣き声がにぎやかだ。川に向かって道路は下っていく。道はまがり、その少し先に緑色の橋が架かっていた。 もう滝のある江川についてしまったのだ。そのすぐ隣にある蛇姫橋という橋を渡り、滝に向かう歩道を降りていくと、滝の轟 音が聞えてきた。川幅一杯に広い瀑布が広がっている。幅は65mあるという。一方、高さは20mと低い。那珂川の支流、 江川はここですべての水を落としている。
 雨の後で、増水しているのだろう。中州に渡る飛び石は水没していた。水の色もいくらか濁っているが、逆に迫力は増し ているはずである。じっくり見れば、複雑に侵食した岩に引っ掛かる水の姿は複雑な絵を描き美しい。一方、背後には道路の石垣が見 えているのは残念なことである。
 ディーゼルカーの鈍い音が聞えてくると、その道路の背後の一段上に白い車体が現れた。 川も道も鉄道も、狭い空間を利用して通りぬけなければならなかったのが山間地なのだ。人が暮らす以上やむを得ない風 景であると私は感じた。

1999.7.20訪問.

滝駅 訪問のために
高さ約20m幅60m.
<地形図> 烏山(2.5万分の1)
<交通機関>JR烏山線滝駅下車.徒歩10分.


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