高宕山(千葉県君津市)
Takago yama
 どちらかというと海の印象の強い房総半島ですが、半島の中央部は山深い地域です。 このあたりには、高い山といえるものはないのですが、構成する岩質のせいか谷の侵食が激しく険しい地形と 森を構成する木々の多様性から、自然を楽しむハイキングには最適の地といえます。
 歩道を歩くと現れる風景も、谷筋の奥まで切り開かれた水田とそのまわりには雑木林が広がるという、人々の生活 と共にあった里山らしさを感じさせてくれ、いつ訪れても、ひじょうにのんびりした一日をおくれます。
 ここで紹介することにした、高宕山は、ほぼ半島中央に位置する海抜330mの山です。 アプローチに君津駅からのバスが利用でき、コースも関東ふれあいの道として整備されているので、 日帰りで出かけるには最適です。

 JR内房線の君津駅南口から豊英系経由尾崎行きのバスに乗ります。以前、この路線は途中の豊英までであったのが、最近延長されました。 公会堂前のバス停か東日笠で下車し、小糸川対岸の植畑方面からくる道路の合流点まで歩きます。 東日笠のバス停は、分岐より少し先にあるので戻ることになります。バスの走る国道を離れ植畑方面に道路を進みます。、川に懸かる橋 に向けて下っていき、橋を渡ると、今度は登りに転じます。西笠原のバス停を越え、再び道路が下っていくと、支流の高宕沢を越える橋が現れます。 橋を渡り、再び登りになり、やがて植畑上郷のバス停が現れます。ここまでだいたい30分の行程です。
 バス停付近で左手から交わってくる道路との合流点が高宕山に向かうハイキングコースの起点です。ここには、コース入口の道標もたてられているので 間違えることはないでしょう。まだしばらくは舗装された道路が続きますが、春は蛙、夏には蝉の声を楽しみながら、谷間に作られた水田を見下ろす位置 につけられた道路を登っていくのはそれほど苦にはなりません。里山に向かっていることを実感できる場所でもあります。入口から15分くらいで法の木の集落を抜けます。 民家ガ無くなると、高宕沢に沿って登る林道となります。約1kmで高宕第一隧道につきます。コースはここから林道を離れ歩道となっています。トンネルの右手に登口があ り、植林中に歩道があります。ここから、だいたい15分が最初の目的地石射太郎山までの目安です。
 植林中の登り坂を終えると、歩道脇に石切場跡が現れ、鹿野山から来る道と合流します。すぐ上に、このあたりの山域全体が見わたせる視界のよい休息所があります。 ここが石射太郎山です。山頂は左にある岩の上ですが上に立つのは危険です。この奇妙な山名の由来は案内板に書かれています。山頂付近の露岩は特徴的で、 この付近の他のピークから、確認しやすいので覚えておくと良いでしょう。
 西に高宕山に向かう尾根上の歩道が続きます。
歩道入り口 高宕隧道前
ハイキングコースの起点石射太郎への登り口
植林の中の歩道 石射太郎 高宕山への歩道
植林中の歩道石射太郎の露岩高宕山への歩道
歩道  最初は西に向かう平坦な稜線上を歩きます。石射太郎に0.4kmの標識のところに、八良塚方面を展望できる場所があります。 続いて道は下りながら大きく曲がります。 急に道が悪くなりなかなか標識が現れないので、ちょっと不安になりますが、人が歩いた後をたどっていけば、植林の伐採された跡の広がる斜面 の上に出ます。道標も現れ道が誤っていなかったことに安心するでしょう。道標には、高宕山1.1kmとあり、高宕山への行程の半分くらいを終えて いることになります。明るい植林の中に歩道が入っていくと、突如現れる石段に驚かされます。この石段は高宕観音のものです。石段の上には岸壁 にへばりつくように建てられた赤屋根の社が構えています。一休みしてから社の裏に掘られた小さなトンネルを越えて続く歩道にもどります。
高宕観音 高宕観音
高宕観音
高宕観音

 トンネルを越えるとは、少し下っていきます。左側の沢沿いを登ってくる道と、豊英バス停へ向かう道との分岐点が現れます。 ここで、合流している歩道は高宕沢の大滝からのコースです。ここから頂上まで残された距離はわずか300mです。しかし、短いながらも、はしごで登る岩 場があったり、岩肌にロープが張ってあったりと、変化にとんでいて楽しい登頂ルートです。充実した登頂の最後は、岩の上の最高点に立つことです。 岩の後ろにはしごがかけられています。狭い頂上に立てば、まわりには視界をさえぎるものもなく、360度の視界を楽しみます。このあたりの沢は、深く、 侵食された細い尾根が複雑に走っていて、330mの山の上に立っているとは思えないような展望を楽しめます。北側の頂上付近に建物の並ぶ山頂は鹿野山です。 視線を手前に移してくれば、先ほど休んだ石射太郎の露岩が確認できます。もっと手前の岩かげには、高宕観音の赤い屋根の一部を見ることができます。
高宕山頂上 頂上からの景観
高宕山山頂 330m山頂からの展望
奥畑バス停側からの入口  下山は、先ほどの分岐まで下ります。ここから標識にしたがって、豊英バス停方向の道をとることにします。この道ははじめ沢沿い を登っていき、次第に植林の中の緩い登り坂になります。あまりおもしろ味のない歩道で登りには使いたくない感じです。
 途中ベンチのある休息所があります。ここからは、八良塚へ向かう道が分かれています。 八良塚は海抜342mあり、このあたり山の中では最高のピークです。 山頂までは、ここから500mしかありませんので、バス停に下る前に往復することもできます。
 奥畑の集落に下る歩道の方を歩き始めると、やがて人里の喧騒が聞こえ始め、眼前に民家が現れます。 水田の中の舗装道路を歩いていけば、奥畑のバス停留所に出られます。以前には豊英までしかバスが無く、 ここからさらに車道を歩かなければならなかったのですが、バス路線が延長され、下山コースはかなり短縮され ました。
奥畑バス停からの歩道入口


 君津駅南口からのバスには、植畑と東粟倉経由の2種があります。植畑経由のほうが、コース入口までの アプローチは短く便利なのですが、午後の時間帯にしか運行されていないので、残念ながら山行には利用できません。 また、木更津駅からも奥畑行きのバスが出ています。こちらは特に運行本数が少ないので、事前に確認が必要です。帰路も、バスの運行時刻に 合わせて計画をたてなければなりません。バスを運行しているのは日東交通(君津営業所 Tel.0439-52-1261)です。このコースは、2万5千分の1 地形図の境を通っているので、山行には鬼泪山と坂畑の2枚を必要とします。
 高宕山には、ここで紹介したルートの他に、高宕沢の大滝から登るルートもあります。

所用時間の目安
君津駅南口 >>40分>> 東日笠バス停 >>30分>> 植畑 >>30分>> 歩道入口(高宕第一隧道) >>15分>> 石射太郎休憩所 >>60分>> 高宕観音 >>15分>> 高宕山頂上 >>15分>> 大滝・奥畑方面分岐 >>50分>> 奥畑バス停 >>50分>> 君津駅


1998/3作成,1999/2/2改定
もどる 房総の散策 週末の散策

Copyright (C) 1998 Masashi Koizumi. All rights reseved.