小田代ヶ原
夏の小田代ヶ原
 小田代ヶ原は戦場ヶ原の西隣、標高にして50mほど高い 場所にある平原です.この平原の南端は、中禅寺湖西岸の千手ヶ浜に向かう道路が 面しています.幸いにもこの車道の一般車の通行は禁止されました.それに変わって訪問者の足として赤沼から低公害バスが運行されています.運行は夏場のみですが、この地域へのアプローチに利用できます.  しかし、小田代ヶ原までであれば距離はさほどないので時間が許せばここまで歩いていくべきでしょう.奥日光一の観光名所、竜頭の滝の上には滝上バス停があります.ここからまず湯川に沿って歩きます. 小さな滝の続く湯川の流れをさかのぼると、千手ヶ浜に向かう車道に出ます.ここで湯川にかかる橋を渡ると、林間を進む歩道の起点があります.小田代ヶ原へはもうひとつ戦場ヶ原の北西にある 泉門池付近から始まる歩道があります.この歩道を登っていくと平原の北側に出られます.冬季にはこちらのルートが利用されることが多いようで、こちらにはかんじきの踏みあともみられます.
外山  何よりもこの平原を特徴づけるのは、風景のよさです.自然林のまっただなかに開けた空間は、四季を通じて木々の美しさを楽しむ のに最適です.また遠くまで見晴らしが利きますので、すぐ隣の外山はもとより、東方には男体山、太郎山、大小2つの真名山を展望できま す.手前の平原と山々の組み合わせによる立体感は、多くの写真家が訪れる理由のひとつでしょう.
小田代ヶ原
小田代ヶ原は外山の東南の麓に広がる平原である. 光徳沼のある方向には、太郎山から男体山へかけて山々が見える.夏のページには同じ場所で撮った写真があります.
三岳 太郎山
湯の湖の北東には小さな3つのピーク、三岳がある. なだらかな山様の山王帽子山と、頂上付近の険しい太郎山.
大真名子山と小真名子山 男体山
太郎山の南側の2つのピークは、小真名子山と大真名子山. 最も南にあるのは、奥日光の山々の代表、男体山.


弓張峠から西ノ湖

 小田代ヶ原を後に、弓張峠を越えると、奥日光の中でもいっそう奥深さを感じ させる地の始まります. 峠の下から、ワカンをつけて、外山沢川にそって進む林中の歩道に入ると、人の踏跡はまったくなくなりました. 葉を落とした林中には、白い雪原のはるかかなたまで一筋に動物の足跡が続いていました.自分が雪を踏み締める音と、ときおり聞こえてくる枝から雪が落ちる音をのぞけば 全く静寂の世界です.
外山沢 外山沢
歩道は林の中を進む.右は外山沢川.
夏季、外山沢川を遡行して庵滝を訪問した時の記録はこちら.


 西ノ湖は中禅寺湖の西2キロメートルにある小さな湖です. ミズナラを中心とした大木に囲まれた静かな湖面は、大自然の中に立つ孤独さをじっくり感じることのできる場所です.
 バスが運行されている夏であれば、西ノ湖入口までバスが利用できますので、ここでも訪れた人たちの歓声はにぎやかでしょう.それでも、観光客や遠足客でにぎわう 夏の戦場ヶ原に比べればまだ十分静かなところだと思います.冬場にはよほどの目的意識がなければ、こんな長い道程を歩く気にはなれないでしょうから、今日はまったく人の気配 はありません.
 バス停のところから柳沢林道といわき道に入ります.じきに林道は分岐します.湖に向かうにはここで南の道に折れます.柳沢に架かる吊橋の前で林道は終わり、千手ヶ浜から来る歩道も この橋の手前で合流しています.吊橋をわたり林立した大樹の中を歩いていくと湖畔に出ます.
 竜頭の滝上から歩き始めて約3時間の歩程でした.もっともこれは、途中雪上の歩道 に入ったりと寄り道を含めてではありますが雪上を3時間も歩くのはためらわれるのでしょうか.3月中旬であっても、ほとんど踏まれた形跡はありませんでした. 当然のことですが、歩くにはワカンなど雪上移動の手段の準備を必要とします.
 帰路は千手ヶ浜に出る方のルートをとることにしました.こちらは少しは出入りする人もいるようでいくらか 踏跡も残っていました.もし、西ノ湖のみを訪問するのであれば菖蒲ヶ浜から中禅寺湖の湖岸歩いていくほうが距離も短く一般的なのかも知れません.

西ノ湖  湖は、最深部を除いて氷結していました.静寂の中、氷の下を流れる雪の水音だけはにぎやかで、融雪の春も近づいていることを感じさせます.

神秘の湖西ノ湖
西ノ湖 西ノ湖
西ノ湖は大木の自然林に囲まれている. 湖水は一部にだけ表出していた.


 静かな一時を過ごしたあと、大木の中を先ほどの吊橋まで戻り、今度は千手ヶ浜方面の道 を進みました.こちらは林間をいく遊歩道として整備されています.雪の薄い所では道の境界を示す杭が見え 、赤いテープも時々つけられていますから、道筋を追うことは容易です.30分ほど歩くと、砂利敷きの車道に出て中善寺湖が見 えてきました.道路を歩けば、すぐにバンガローの建ち並ぶ千手ヶ原キャンプ場に出ます.ここは夏のみの営業で、冬にはだれ一人 いません.
 湖畔の砂浜に出て、桟橋に立つと前方に男体山が見えています.また湖の対岸には、中禅寺湖温泉のあたりの建物も 小さく見えます.湖の南岸にはまだいくらか雪の残っている感じですが、北岸の菖蒲ヶ浜に続く道のあたりはもうすっかり解けて しまっているようです.
 このような心配をするのも、この歩道が利用できれば再び弓張峠越えの林道を戻らなくてもすむからです.バス停にたどり着 くまでの距離はこちらを行ければだいたい半分ですみます.湖畔にそってつけられた歩道は、湖岸の上の細い所もあるし、また日影では 雪や凍結があったりしていて気は抜けませんが、1時間ほど歩くと難なく菖蒲ヶ浜スキーゲレンデの脇に出てしまいました.

千手ヶ浜 千手ヶ浜からみた男体山
中禅寺湖の西岸千手ヶ浜. 千手ヶ浜から見た男体山.


訪問にあたって
<地形図> 男体山・中禅寺湖 (2万5千分の1)



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