Software Review vol.7

三毛猫ホームズ・ゴーストパニック・・・Produced by (c) 光文社 (\.4300)

三毛猫ホームズというと、その筋の小説ファンには有名な赤川次郎先生の人気推理小説シリーズで、TVの2時間ドラマとかでも良くやってましたね (三浦洋一さんが亡くなったので、新たなシリーズが作られるかどうかは難しいところですが・・・)。

ゲーム化ということでは、かなり以前に既にGBでリリースされているので (三毛猫ホームズの騎士道というタイトルのコマンド選択式の本格推理アドベンチャーで、ジャンル的に言っても知名度的に言ってもかなりレアなソフト) 特に目新しいところは無いのですが、本作はサウンドコミックという新たなジャンルを採用しています。これは TERRORS などのサウンドノベルが音と活字を使っていたのに対し、音とマンガを使って世界観を構築しようというものです。

実際に遊んでみたカンジでは、グラフィックを表示する間隔を調節したりして演出に気を配っているようなところは良い!と思う反面、非常にダルイという感じもします。というのも画面のスキップが出来ないから。ホントのマンガを読む時って当然個人によってページをめくるスピードも違うし、何処をじっくり見るかっていうのも違ってくると思うのですが、このゲームの場合そういう個人の感覚は一切無視。あくまでストーリーに沿って時間通りに絵を表示しているというカンジで、マンガを読んでるというよりも出来の悪いムービーをスキップ無しで見させられているという感覚が強いです。それでも、1回目ならゆっくり慎重に読むと思うので良いと思うのですが、2回目以降も変わらず強制的に見させられる (分岐点までのスキップ等一切無し) というのは苦痛です。

さらに困った点は、読み戻しが出来ないこと。前のページに戻りたいと思っても出来ないのです (出来るのかな?少なくともマニュアルにはそういった記述は無かった)。あと、徐々にコマ割が表示されていくのにそのページが最後まで表示されたという合図が無いのも困りモノ。ウッカリXボタン連打してたら肝心なメッセージ読まないで次のページに行っちゃったとかいうことがあります。なんつーか、非常にユーザーにやさしくないシステムです。このゲームを作った人は今までのサウンドノベルとかデジタルコミックとかいった類のソフトで遊んだことが無いのでしょうか?非常に独りよがりというか『サウンドコミックって新しいだろ!?』っていう話題だけ先行してて中身が全然伴ってないというカンジです。

ただ、良いところもあります。それは1度選択した選択肢は色が付いて区別されるというところ。コレにより、いくつもあるエンディングを見る際にいちいち分岐を紙に書いて・・・という面倒な作業が要らなくなります。あと、同じエンディングにたどり着いた時などには、ヒントが出てきて何処の分岐点がカギになるかなどを教えてくれます。これは非常に便利な機能です。

もっとも、選択肢自体が少なく1回遊ぶ時間の9割は強制的にグラフィックを見させられてるだけという状態で、しかも根本的なシステムの稚拙さによって著しくゲーム性が悪くなってる本ゲームを2回以上繰り返し遊ぼうという気にはとてもなれませんね。自分がゲームに関与して進めていく30分なら楽しいですが、強制的にやらされてる感の強い30分は苦痛以外のナニモノでもありませんから・・・。

肝心のシナリオに関してですが、安物の2時間ドラマ見てる感覚?なんか、あまりにもヒネリが無いっていうか・・・原作もこんなモンなのかな?いや、多分グラフィックが悪いんだろうな。あまりにもマンガ的過ぎるキャラのタッチはミステリーじゃなくコメディそのもの。シナリオに合ってない。つーか、あまりにもこのキャラが悪役で最後にこうなるっていうのが分かりやすすぎ。TVの2時間ドラマも配役見ただけで、この人が犯人っていうのが分かるけど、それと同じカンジ。こう考えると、活字ってスゴイですね。変な先入観が無いから先読む楽しみがあるっていうか、エンディングまで目が離せないっていうのがある。

サウンドコミック、まぁ新しいことをしようという意気込みは良いのですが、既存のデジタルコミックと何ら変わりないというか、逆に操作性などの点で劣っているのはいただけませんな。もし今後シリーズ化していくつもりならば、少なくとも上で述べた操作性の悪さは最低限改善して欲しいところです。あと、マニュアルの改善も要求。キャラ紹介とボタン操作の説明だけの4ページしかないペラペラの紙で一体ユーザーに何を訴えかけようというのでしょうか?このゲームのウリは何なのか?このゲームでユーザーに何をさせたいのか?最低限、そういうことくらいは分かるマニュアルにして欲しいですね。何か非常にやる気の無さを感じずにはいられません。

つーか、このゲームで気合が入ってるなと思ったのはホームズの鳴き声だけです (イヤ、本気で)。ただ、いくらネコ好きの私といえどもこの声だけで満足出来るほどお人好しじゃないです。高い買い物でしたな、まったく (泣)

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落雀・・・Produced by (c) バンダイ (\.2980)

第3回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテストにおいて、特別賞を受賞した作品をWSに移植したモノ。かなり前にパソコン用ソフトとして発売されているので遊んだことがある人も多いのではないでしょうか?

画面上から2枚1組で落ちてくる麻雀牌を回転&移動させて、同種の牌 (マンズ、ピンズ、ソウズ、字牌) を3つ以上タテかヨコに並べると麻雀牌が消えます。この時、順子 (数字の連番) なり刻子 (同じ牌が3つ) が揃うと、自分の手に加わります (画面下に並んでゆく)。これが4組 (12枚) 揃うと、リーチイベントに突入。ルーレットの要領で雀頭を選択、見事に揃うとアガリとなりアガリ役に応じた点数が入ります。コレが本ゲームの大まかな流れです。実際に麻雀をやったことがなくてもスグに分かると思います。

気を付ける点として、順子を作る場合は必ず順番通り並んでいなければイケナイということ。すなわち、3・4・5と並んでいれば順子として認められ自分の手に加わりますが、3・5・4では単に消えるだけで自分の手には加わりません。また、ゲームの性質上、七対子 (2枚組みが7個) はありませんので注意してください。

牌に関してもうひとつ。通常の麻雀牌の他に特殊効果牌があります。これは、設置すると効果を発揮し、矢印の方向にある牌や触れた同種の牌を消去したりします。縦や横方向の消去は対処が簡単なのですが、ナナメ方向は直感的に分かり難いので注意。必要な牌は消えないように置いたつもりでも他の牌が消えて連鎖が起こり、ツミ込み中だった牌が・・・ということがままあります。画面の端なら影響は少ないので逃げ場は常に確保しておくようにしましょう。

リーチイベントはルーレット形式なので多分に運の要素が強いのですが、画面の上部にあるラッキーゲージの量が多いほどルーレットの回転が遅くなり目押ししやすくなります。このラッキーゲージは、連鎖や同時消しなどで1度に多くの牌を消せば消すほど溜まっていきます。逆に言えばこのラッキーゲージが溜まらないうちにリーチイベントに突入すると上がりにくくせっかくの手役も水泡に帰す可能性があります (リーチイベントで上がれなかった場合には手役の牌3つがランダムで消去されてしまう)。役を作る際には先ずゲージを溜めてからにするのが定石ですが、ゲームが進むに連れて牌のせり上がり速度が速くなります。連鎖しつつ役も作るというテクニックが必要になってきます (口で言うのは簡単だけど実際にやってみると・・・)。

ここまでの説明は私が主に遊んでいる『段位認定モード (獲得した点数に応じて落雀レベルが認定される)』を元に書きましたが、WS版には他に『物語モード』『通信対戦モード』『制限時間モード』があります。『物語モード』は次々に現れる敵を倒して賞金を手に入れるというもの。3万点持ちで開始し、相手をハコにすれば勝ちとなります。段位認定モードと違うのはリーチイベント。ルーレットイベントがたくさんあり、キャラクタの動きが多彩になっています。また、相手も当然リーチを仕掛けてくるのですが、この時相手のリーチを阻止することも可能 (タイミングがキビシイですけど)。1回やってアッと言う間にクリア (完勝) しちゃったんでそれ以来やってません (というか、コンピュータがフリテンを連続するってのは・・・)。『通信対戦モード』はその名の通り通信ケーブルを使った対人対戦モード。遊んだことが無いのでパス・・・というか、WSの通信ケーブルって持ってる人居るのか (ぉぃ)?『制限時間モード』は制限時間 (100カウント) 以内にどれだけスコアを伸ばせるかを競うモード。基本的な仕様は段位認定モードと変わりません。チョットの間に遊びたい人向け (電車に乗ってる時とか) のモードです。

その他に、ゲームのルールを教えてくれるモードと、ワンダーゲートと繋いでスコアランキングに登録&照会出来るモードがあります。ま、あまり使う機会は無いと思いますが、無いよりはマシかなと (笑)

リーチイベントのランダム性が強くてイマイチという気もしますが、ホントの麻雀の単騎待ちも同じように運の世界がある訳で、まぁ仕方ないかなぁと思います。もっとも、単騎待ちする牌を選べるようにして欲しいとは思いますが (段位認定モードの話)。せっかくピンズで清一でテンパってるのにリーチイベントの牌がソーズだった日にゃブチ切れたくもなりますわな (笑)

それよりも問題なのが、とにかく牌が見辛いということ。元々、画面が小さい上にパソコン版と同じレイアウトにしようとするものだからひとつの牌が非常に小さくなり非常に見にくいです (特に、ピンズの9とソーズの6とソーズの9が紛らわしい)。しかも、WSの液晶は追従性が悪いので牌の落下スピードが上がると画が流れて見にくくなるという問題もあります (発色もぼやけてるから更に)。ゲーム自体はとっつきやすくて良いのですが (パソコン版では結構遊びました)、この唯一にして最大の問題の為に完成度はあまり高いとは言えません (下手するとゲームにならない可能性もある)。

とはいえ、このソフトは2980円。最近、高騰する傾向にある携帯ゲームとしてはかなりガンバってます。ゲーム自体も手軽だし、こういうのがもっと増えてくるとPSの1500円シリーズみたいに普及するんじゃないかなと思うんですが、いかがなもんでしょうか?WSにはGBAとは違った方向で勢力を広げて欲しいものです。もっとも、マンガやアニメ路線で引っ張るのは勘弁して欲しいですが (笑)

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