ドラえもん・緑の惑星ドキドキ大救出!

原作者の藤子・F・不二夫先生が亡くなって早数年経ちました。ただ、先生の没後もTVは続いているし、大長編アニメも毎年公開されてるし、同スタジオの漫画家さん達が今でもドラえもんを描いており、いずれも大変な人気を博しています。そんな流れはゲームの世界にも当然あり、このゲーム以外にも数多くのコンシューマ用のゲームとしてリリースされています (つーか、ドラえもんのゲームが出ていない国産コンシューマハードって無いんじゃなかろうか?あっ、ネオジオはどうだっけか (笑)?)

さて、エポックといえば、ゲームのみならずドラえもん関連のグッズをたくさん販売している所だということは多分ドラファンならば知っていることと思います。また、ことGB用のソフトに関してはク○ゲーが多いということでも有名 (ぉぃ)。いや、正確にいうとキャラに頼りすぎているフシがあるというか、どうもまず最初にひみつ道具があって、ソレを無理やりアイテムにしてゲームに組み込んでるだけなので、肝心のゲームシステム自体がお粗末なモノになっているというのが多いのです (ドラえもんカートは、その際たるモノでした)。ただ、GB初期に出たアニマル惑星や最近リリースされたきみとペットの物語のような佳作も出してるので『エポックのドラゲームなんか2度と買わない!』っていう風にはならないんですよねぇ (それが良いことか悪いことかは別問題ですけど (笑))。

ストーリーはオリジナルで、ある日隕石を拾ったのび太とドラえもんが、その隕石に託されたメッセージを元にいつもの仲間達と旅に出て、惑星を侵略しようとする悪者と戦うというもの。最初に悪者にひみつ道具を奪われてしまい、それを取り返すのも目的になっています。うーん、まぁ何ていうかイマイチというか、シナリオとしては弱いというか、実際にゲームで遊んでみるとそういったストーリーはあまり関係ないっていうか、取って付けただけってカンジは否めないです。ただ、グラフィックに関しては非常に良いカンジ。コミックス版とTVアニメ版の絵のタッチが混ざっているのはご愛嬌ですが (笑)

で、内容ですがジャンル的にはアクションRPGとなっています。大まかな流れはゼルダの伝説と同じ。まず、ステージ上のどこかにある地図を探し出します。この地図を手に入れることでステージマップが表示されるようになります。で、このマップを手がかりに『カギ』を手に入れます。このカギを使うことでステージのボスのエリアに入りボスをやっつければステージクリアとなります。ステージは全部で6つ。そのうち最後の2つは他の4つのステージをクリアすることで進めるようになります。

ステージに関しては、広すぎず狭すぎずといったところでしょうか。ただ、似たような背景が続くのと行ける所と行けない所の区別があいまいな部分があって迷いがちなのは難かな?あと、セーブポイントが決まっていて、そこにたどり着くまでは一切セーブが出来ないのはいかがなものかと。何せGBAは携帯ハードですからね。いつでもどこでも手軽に始められてすぐに終われるというのはある種デフォルトの仕様。特にRPGならば尚更です。ステージが進むとアイテムとして『どこでもドア』が手に入り、いつでもスタートポイント (キャンピングカプセルがあって体力の回復とゲームのセーブが出来る) に戻れるようにはなるのですが、1度戻るとまたそこまで旅をしなければならないのでかなり面倒です。個人的にはセーブとは別にレジューム機能を付けて欲しかったですね。

このゲームのもう一つのシステムとして、5人のキャラをいつでも自由に交換してプレイ出来ます。各キャラにはそれぞれ能力に違いがあり、たとえばスネ夫ならすばしっこく足が速い、ジャイアンなら足は遅いけどパワーがあり邪魔な岩を壊せる、しずかちゃんならば洞察力があってマップ上の怪しい地点を見つけられるなどとなっています。で、これらの能力は単に使えるというだけではなくて一部のステージではそのキャラを選択しなければ進めないという場面も出現し、ちょっとした謎解き要素になっています。また、特定のキャラでエリアに侵入した時のみ発生するミニゲームイベント (たとえば、のび太で入ると射的ゲームが始まる=のび太は射撃の名手) があったりして、原作のエッセンスを上手く取り入れてるなという気がします。ただ、そういったイベントの全体における割合がごくごく一部なのが残念。しかも、構成が単純なのですぐに分かってしまいます。まぁ、ゲームの対象年齢が低いというのもあるんでしょうけど、もうちょっと難しくしても良かったんじゃないかなと思います (スネ夫とジャイアンを連携して使うとか)。

各キャラは能力の他に、使用する武器にも違いがあります。ドラえもんは空気砲 (溜め打ちで威力がアップ)、のび太は空気ピストル (連射可)、しずかはアタールガン (ホーミングミサイル)、スネ夫はこけおどし手投げ弾 (広範囲に攻撃可能だけど、当てるのが難しい)、ジャイアンはチャンピオングローブ (溜め打ちで射程距離が伸びる)。ただ、見ての通り全員が飛び道具を使ってる&射程距離も実はそれほど変わらない (ホーミングは別ですけど) ので、攻撃力でキャラを使い分けるという必然性が皆無なのは非常に残念です (あと、移動スピードもBボタンのスライディングを使えばほぼ全員同じスピードで移動するし)。射程距離は短いけど1発の威力が大きいのですぐに敵を倒せるとかいう違いがあったりすれば、それなりにゲームの幅も広がったと思うんですが・・・。ここら辺もやっぱり対象年齢の低さと関係があるんですかねぇ?

使い分けという点でいうと、アイテムに関しても同じことが言えます。アイテムには、特定のエリアで強制的に使用される必須アイテムと、プレイヤーが自由に選択出来る選択アイテムがあります。後者の選択アイテムは大まかに言って大量の敵を倒すか、自分の体力を回復するかのどちらかです。で、体力に関しては敵をやっつけたり木や草に隠れているハ〜トを取れば回復できるし、ボス戦の前などには体力回復ゾーンが用意されているので体力回復アイテムを使うことはほとんど使うことがありません。また、敵をまとめて攻撃するアイテムに関しては、まとめて攻撃する必要のある場所がありません (笑)。いや、ホントに。雑魚キャラなんて通常の武器ですぐに倒せるような連中で、しかも1つのエリアに多くても5匹程度。1回のダメージ量も少ないし、通常武器の使用だけで難なくクリア出来てしまうのです。しかも、アイテムを使うには気力が必要になり、メーターがゼロになると必然的に使えなくなるようなシロモノなのでなおさら使うのが億劫になります (笑)。ただ、中にひとつだけ面白いのが。それはコエカタマリン。これとマイクを組み合わせてジャイアンが使うと『俺はジャイア〜ン!』と唄いだします。コレはちょっと面白かったです。

グラフィカルな部分に話を戻すと、デモやグラフィックウインドウ (各キャラのセリフを表示する部分) に表示される絵は、良く出来ています。さすがにGBAになってドット数と色数が増えただけのことはあります。それに比べると実際にプレイフィールドで動かすキャラのグラフィックは物足りないと言わざるをえませんが、もともと特徴のあるキャラ達なので見分けがつかないということはありません (=ゲームとして支障は無い)。それよりも敵キャラの種類が少なく、キャラパターンも少ないのが残念。また、ある場所で発生するミニゲームイベントで、ロボットの色を当てるゲームがあるのですが、コレが恐ろしく発色が悪くて見分けが付きません。液晶保護フィルターを貼ってるのも影響してるのかもしれませんけどね (保護フィルターを貼るとどうしても画面全体が暗くなる)。あと、ステージによっては上空に雲が流れてたりするんですが、非常に画面が見づらくなるので・・・いや、演出というか表現的には非常に良く出来てる (透過具合とか) んですよ、ホント。ただ、自分のキャラが見えなくなったりするので鬱陶しいです (笑)

その他、演出面に関していうと、サウンドが挙げられますが、全体のBGM等は雰囲気も良く、音質自体もまぁこんなもんかなぁというカンジですね。劇的にスゴイ!ってことは無いです。ただ、前述のジャイアンの唄もそうですが、各キャラが要所要所で喋るのはスゴイですね。もちろん、容量の関係からセリフは一言二言ですけど、それぞれTVの声優さんがちゃんと声をあててるのがスゴイです (綺麗に聴こえるしね)。

もうひとつ、ひみつ道具事典というモードがあります。これはゲーム中に手に入れたひみつ道具がどんなモノか見ることが出来るというものです。ひとつ残念なのは、この事典の中のアイテムはゲームをクリアしても全部を集めることが出来ないということ。タイム電話と称したモバイルアダプタGBが無いと手に入れることが出来ないアイテムがあるのです。もちろん、このモードはゲーム本編とは関係ないし、そのようにして入手するアイテムが無くてもゲームはクリア出来るのですから問題は無いと言えば無いんですが、やっぱりそういうモードがあればコンプリしたくなるのが人情というもの。でも、そのためにケータイとモバイルアダプタGBを買うのは・・・普通の人間には出来ませんよねぇ (まして、小さな子供なら尚更)。結構ツウ好みな道具が揃っているだけにチョッと残念な気がします。

多人数プレイに関しては遊んだことが無いので割愛しますが、対戦を主にしたミニゲームが5種類ある他に、ストーリーモード自体も協力プレイといって複数のプレイヤーが一緒になって遊ぶことが出来るようになっているのは新しいですね。ただ、ゲームの難易度自体が低いので果たして協力してプレイする必要があるかどうかは甚だ疑問ではありますが (笑)

何というか、やっぱ対象年齢が低いせいでしょうか、ゲーム自体はエラく簡単です。ヌルゲーマーの私が1日でクリアしてしまったくらいですから。だから、本格的なアクションとかを求める人には多分このゲームはオススメ出来ません。やっぱ『ドラえもんが好き』という大前提の元に成り立っているゲームではないかと思うのです。ただ、ク○ゲーという訳ではありません。操作性とかは良好ですし、ムカツキを覚えることもありませんでしたから。願わくば、続編ではもう少し難易度を上げて、各キャラの個性を際立たせた作品にして欲しいものです。

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