東院堂
Toin-do Hall

東院堂は吉備内親王が母の元明天皇の冥福を祈って建てられた。内親王は天武天皇の孫、長屋王の妃だったが、政変で王とともに自害した。
本尊の聖観音菩薩像は和辻哲郎さんが若いころに書いた「古寺巡礼」で絶賛しているとおり、とても美しい仏像だ。「古寺巡礼」は1919年に初版が出て、1947年に改訂されている。初版の文章は青年らしい情熱(激情と言ってもいい)にあふれているが、改訂版ではかなり抑制的なものになっている。和辻さんは気恥ずかしかったのだろう。改訂版は岩波文庫、初版本はちくま学芸文庫で読める。 次へ