大池より
From Oike Pond

大池は万葉集では勝間田の池と呼ばれているようだ。
新田部親王に献る歌一首「勝間田の池は我知る蓮なし然言ふ君がひげなきごとし」(巻十六)
歌の左注には、「新田部親王が郊外に遊び、帰宅して婦人に勝間田の池の蓮の花の美しさを話したときに、婦人がこの戯れ歌を詠んだ」とある。
「勝間田の池は知っておりますが、あそこには蓮などありませんよ。あなたに髭がないようにね」(あなたはどこかほかのところにお出でだったのでしょう)親王のアリバイは崩れたのだ。親王は天武天皇の皇子で、甥の長屋王を糾問して妃の吉備内親王とともに自死させた人物だ。
万葉集には長屋王の歌は5首あるが、新田部親王が詠んだ歌は一つもない。 次へ