大湯屋
Ohyuya Hall

二月堂から大仏殿の裏に向かって下る坂の、左側に佇んでいる。湯屋は施浴の施設であり、これは鎌倉時代に重源によって建てられたとのこと。大湯屋の建物の特徴は側面から見た非対称にある。東が切り妻で西が入母屋造りである。規模こそ違うが興福寺にも五重塔の傍に大湯屋があり、やはり同じ構造だ。五木寛之さんはこの建物が東大寺のなかで一番気に入っている、と「百寺巡礼」に書いているが、確かに寺の生活を支えた建物が健在だということはすばらしいことだと思う。ここから屋根の向こうの大鐘楼の方に登るか、このまま西に向かって講堂跡から戒壇院あるいは転害門のほうに出るか、いつも迷うところだ。  次へ