南大門
Nandaimon Gate , Todai-ji Temple

中学の修学旅行で南大門を初めて見た。それから何度この門を見上げ、この下を通り抜けたか数えていない。奈良に来て大仏殿に立ち寄らなくてもこの前は必ず通る。
南大門は伽藍の「顔」であるが、これほど役目を十分に果している門は少ない。伽藍の「主」である金堂と南大門の織り成す空間が寺の造形をきめると言って良いが、ここには金堂との強い緊張感がある。巨大な門をくぐると金堂までの長い距離が金堂の大きさをいやでも想像させ、そしてその想像を上回るように設計された金堂が視野を遮る大きさで立ちはだかる。さすがに総国分寺である。
惜しいのは、今の大仏殿がこの南大門と同時期に再建された当時のものではなく、江戸期の再建によるものだということだが、今この大きさで存在すること自体がせめてもの幸運だと思うしかない。