新薬師寺東門横の土塀
The mud wall of the opposite side of the East Gate ; Shin Yakushi-ji Temple

亀井勝一郎が「大和古寺風物詩」を書いたときは少し内省的になっていたのだろうか。「新薬師寺を訪れ一度は必ず心ひかれるにちがいない。」と書き始めながら、次第にこのあたりの風物に否定的になっていく。終いには民家も築地も道筋も見ないほうがいい、夜歩いたほうがいいかもしれない、とまで書いている。「不空院の門前から新薬師寺の東門を望むあたりの築地は古さびていいが、あまりに小さく侘しすぎる。」昭和17年秋の氏の気持ちの底をのぞいたような気がする。それから60年が過ぎた、新薬師寺東門前の築地塀。     戻る