究極の外道編

関東では珍しい外道が釣れました。
これも怪しいおじさんのお導き。
有り難いことです。


11月6日
       久し振りの釣りである。
       とはいえ、2週間空いただけであるがこれは2年ぶりのことになる。
       ネパールの海釣りの神、クリシュナームに祈りつつ、朝一番に、
       外房の有名な雷魚池に入る。

       ホラである。
       ネパールに海は無い。

       今日はバス釣りがメイン。
       もう、雷魚は冬眠が近く、それを狙う酔狂な人間はいない。

       ・・・いた。  


       この池では、雷魚マンに外道として50UPが多数釣られているとの情報を得て
       それを狙っての釣行である。
       これは、ホラではない。
       まずは、バズベイト。
       シャリシャリと軽快な音が湖面に響く。
       出ない。
       更に引く。何度も引く。
       その時、トンボが飛んできて肩にトマッタ。
       気になって見ていると、水面のバズベイトが消えている。
       バスだった。25CM。しかし、バイトは見ていない。
       小さいが初HP専用写真が撮れる。

       ・・・・やはり、カメラは車の中である。
       いつもの事である。無かったことにする。
       
      しばらく、遊んでいると軽トラックに乗ったおじさんが現れる。
      管理人もおじさんだが、ここでは関係無い。
      しばらく、昔話に花をさかせていると’鮭を釣りたくないか’との申し出が有る。

      正直、話を切り上げて釣りを再開したかったが、ここで、営業モードとなる。
      管理人は営業をしたことは無いが、この場合、こう表現するのが大人である。
 

      ここで、おじさんも強気になったのか、自分はこの町の議員だと正体を明かす。
      たしかに、そおゆう目でみると、汚れた作業服、日に焼けた顔、
      町民のために働く議員さんの雰囲気がぷんぷんと漂う。

            

      軽トラックで案内されたのは、とある川。
      以前に一度だけバス釣りに来たことが有る。
      その時には、鮭の陰も形もみえなかったが・・・・

      当たり前である。夏だった。

      半信半疑で、川をのぞくと流れの中に大きな鯉が見える。
      泳ぐのが速いので、ニゴイであろう。
      跳ねた。鮭だった。

      釣れる魚とは思っていなかったので、しばらく眺めてみる。
      綺麗だ。管理人は美しさには縁が無いが、これがそうであろう。
      婚姻色も鮮やかな鮭がやや濁った水の中でキラメク。

      うまそうだ。

      議員さんは、やってみろ。釣れるぞと誘う。
      そして、荷台から大きな引っ掛け針を取り出してぶんぶん振り回す。
      この時点で、本当の議員さんであることを管理人は確信する。
      汚職するよりよほど良い。
      

      そして、ついに管理人は釣りを開始する。
      鮭など見たことが無い。釣り方も分からない。
      川に入った鮭は、捕食しないことだけは知っている。
      それでも、アラスカではルアーで鮭を釣る。
      リアクションか。管理人はひとりごちた。

      ディープクランクを取り出し、腕も折れよとばかりに早引きを繰り返す。
      そして、1時間くらい後。
      ぐにゅとした手応えとともに、強烈な引きが始まった。

      本流に乗って、下流へと猛烈に走る。
      追いかける。追いかける。
      テトラに巻かれる。
      テトラに飛び乗る。
      ドラッグが泣く。
      土手で滑る。

      ようやく、取り込んだのは60cmくらいのメスの鮭であった。
      手が震えている。
      手に力をこめると、足が震える。

      初めての鮭を手にし、しげしげと眺めてみる。
      綺麗だ。しかし、まずそうだ。
      皮膚がガサガサしている。
      遡上を始めた鮭なので、仕方ないのであろう。

      丁寧にリリースし元の釣り座にもどろうとすると、
      そこは、対岸からやって来た釣り人で一杯となり、
      既に管理人のはいる余地は無いのであった。