思い出(2)

今日は一年ぶりに鮭を釣りに行く予定だったのですが・・・・
思わぬ遠征になってしまいましたが、懐かしい釣り場にも顔を出しました。
でももう、かつての面影は・・・・


10/07 
    
さて、成り行きで淡路島に到着してしまった。
    到着したは良いがどうするか?
    懐かしい池は後の楽しみに取っておくとして・・・

    子イタチの池に行く事にする。
    以前この池で子供のイタチに遭遇したのでこう呼んでいる。
    体長30〜40cmくらい。鼻をヒクヒクさせたり、ヒョッコ、ヒョッコと歩いていた。
    管理人に気が付くと大慌てで逃げ出したが、やっぱりヒョッコ、ヒョッコ走っていた。
    
    水は少々悪い。いつもは青みがかったクリアのはずだが。
    しかも先行者が居る。近所の小学生である。
    見た事の有るメンバーばかりなので、話を聞いてみるが釣れてないようだ。
    管理人の車を覗き込んで、「スゲ〜、一杯竿が有る」とか言っている。

    スピナベをセットして、北側の岸辺をキャストしながら奥へと進む。
    流れ込みの有る一番奥まで探るが反応は無い。
    ノーシンカーワームに取り替え、南岸の藪こぎを開始する。
    立ち木の陰に落としたワームに初のバイト。
    思いきりフッキングすると、ワームの尻尾を咥えた子バスが吹っ飛んできてバレた。
    その後は何の反応も無い。

    どうもシブイ。
    そういえば昨日は鳥取で大地震が有った。淡路島も震度5だったはずである。
    その影響かもしれない。

    と、ここで気が付いていつもの宿に連絡をすることにする。
    ファンキーな親爺さんが経営する宿である。
    ボロボロなので地震に耐える事ができたのか心配になったのである。
    
    管理人 「関東の○○ですけど、空いてますか?」
    親爺さん「イケル、イケル」
    管理人 「空いてるんですね?」
    親爺さん「イケル、イケル」
    何がイケルのかさっぱり分からないが、いつもの事なので気にしない事にした。


    宿も取り、安心したところで別の池へと向う。

    今度はライヒー池である。
    そろそろスイレンも枯れてきて、池全体を攻める事ができる。
    約一時間ほどキャストを繰り返すが、食いが浅くて乗せる事ができなかった。

    ここで、珍しい光景に出会う事になった。
    道路の上からキャストをしていると、足元の水の中に一匹のライヒーが現れた。
    管理人には気付いていないようである。
    じっと見ていると、何を考えたのかこいつは陸に上がって来た。
    ヒレを使ってクネクネと泥の上を這い上がって、体を2/3くらい出したまま、
    じっと日向ぼっこ?をしている。
    まあ、どろどろした泥土の上なので、体が乾く心配は無いだろうが・・・・・
    何してるのかと思い、覗きこんだところで人間の姿に気付いたらしく、
    クネクネと水の中へ帰っていった。
    ひょっとすると、管理人は進化の瞬間を目撃した初の人間なのかもしれない。
    もうすぐ直立歩行などを始めて、家に帰るとコタツの中で丸まっているかもしれない。
    「灰皿取ってくれ」とか言うと、モッソリモッソリ歩いて行って、くわえて持って来てくれるようになるかもしれない。

    つまらない事を考えても仕方ないので、次の池へ向う。
    今度は懐かしいあの池である。

    この池は、2つのダムで構成されている。
    奥のダムはかなり古く、元気の良いバスが徹底的に遊んでくれる。
    手前のダムは今年完成予定の大きなダムである。

    ダムへと続く山道へとさしかかる。
    大きなカーブの先に工事小屋が有るはずである。
    しかし、もう小屋は撤去されていた。子犬の姿ももう見られない。
    通行許可証を見せていた金網のゲートも既に無い。

    そして新ダムのダムサイトに到着した。
    完成していた。
    ダムサイトはちょっとした公園のように整備されていた。
    池、いやもう湖くらいの大きさになった水面を真新しい周回道路が取り囲んでいる。

    以前通ったでこぼこ道も下の方が水の中へと消えていた。
    発破作業が終了するまで待機していた離合個所、谷底まで落ちそうな怖い道も
    既に水の下である。
    何か大切な物を失った気がして、管理人はしばらくダムサイトから湖面をみつめていた。

    周回道路を通ってみることにした。

    奥へ進むと懐かしい旧ダムサイトが残っていた。
    夏になるとこのダムサイトで良く釣れたものである。
    この向う岸にはスズメバチの巣が有って、うかつに侵入すると偵察隊が即時派遣されたものである。
    今はその藪も切り払われて裸になっている。ダムサイトも金網が張られて入れない。
    水は落とされて、10mくらいの減水。
    満水時には、ダムサイトから水面まで3〜4mくらいしかなかったが、今ははるか下である。

    更に奥へと向かう。
    下の方には以前の周回道路が残っている。
    歩いて降りてみたが、荒れ果てた道はあちこちで湖面へと崩れ落ちている。

    湖面へと降りてみる。
    水は相変わらずクリアである。夏には蛍が飛び交う綺麗な水である。
    しかし、魚の気配は全く無い。

    岸辺に沿って上流へと歩いて行く。
    流れも止まったインレットの落ち込みあたりを見ると、何か魚が泳いでいる。
    シッポが黒い。バスだ。
    じっと見ていると、魚は人間に気付いて集まってきた。
    いつものバスの行動だが、何か古い友人に出会った気がして妙に嬉しい。

    結局ここでは、釣りをする事もなく今日の一日を終了する事にした。

    さて、いつもの宿へと出発である。
    福良港にある福良館。ベタなネーミングである。

    さっそく、入るといつもの親爺さんが居た。
    親爺さん 「おお、来たね。今日は釣れたかの?」
    管理人  「一匹も釣れんかったけど、懐かしい所にも行ったし楽しかったで」
    親爺さん 「最近、池の水抜きが多いで、大きいのおらんことなったのお」
    管理人  「おお、もうそろそろ淡路島も駄目なんかのお」
    親爺さん 「ほんとにのお」

    この宿は不思議な宿である。
    通りに面した窓には、「一泊5000円より」と書いてあるが、そんな部屋は無い。
    一泊2500円、3500円、4000円の部屋が有るだけである。
    いつもは2500円で充分なのだが、今日は4000円の部屋にした。
    最高の贅沢である。

    廊下を見ると、新しいサービスを開始したらしい。
    張り紙にはこう書いてある。
    「洗濯します。料金は、200円か300円か無料」
    いったいいくらなんだ。
    相変わらずである。

    さて、明日はどこで釣ろう。
    


懐かしい池ももう面影は無くなって、なんだか淋しいもんです。
あと2日間釣りをするんですが、この先は・・・・・・
続編を準備してます。