夜明のスナイパー
今回もHPのお客様、あるがまにあ氏とのシーバスフィッシングです。
前回では、一匹目のヒットをお伝えしました。
その続きです。
前回と同様に文中に失礼な表現などが散見されますが、悪意は有りませんので、
寛大な心で読み飛ばしください。
どうしても許せない場合は、伏字にいたしますのでご連絡ください。
2月9日
24:00 先ほどのポイントでの、あ氏の技は、管理人を震撼させた。
しかし、管理人はこれから更に過酷な世界を垣間見ることになろうとは、
この時には知るよしも無かった。
お勧めポイントへの移動を開始する。
ポイント入り口から、2〜3分で、管理人はトラップに引っかかってしまった。
落とし穴である。
直径1m,深さ50cm〜1mほど。雑草の陰に隠れた罠である。
ちょっと、痛かった。
そして、よんどころ無い理由による、50mほどの匍匐前進。
腰を痛めてしまった。
険しい道のりであった。
しかし、ポイントを前に、管理人は我が目を疑った。
このような場所が有るとは。
おそらく、一般人など訪れたこともないだろう。
仮に無謀な侵入者が有ったとしても、入り口のトラップに嵌って御陀仏であろう。
ここが、この若者の仕事場。
獣が爪を研ぐ、狩場なのであろう。
ポイントを前に、管理人の頭の中でひとつの言葉が渦巻く。
蛇の道は蛇。
詳細な場所を語るわけにはいかないだろう。
その結果が、どうのような事態を招くかは管理人が肌で感じて来たのだから。
痛いのは誰でも嫌である。
さて、まずはお勧めのラパラCD5を使いエリアを順番に叩いて行く。
何度かエリアを往復したが、シーバスからの返答は無い。
しかし、あ氏に焦りは無い。あと、3時間ほどで相手は現れると言う。
またもや管理人の頭に、ある言葉が浮かび上がる。
毒蛇は急がない。
そして、管理人とあ氏はその時間まで待つことにした。
その間にあ氏は、適したキャストポイントを求めて辺りを探る。
油断できない男である。
この若者はターゲットに対し、若くしていくつもの怒り、喜び、悲しみを味わい、
裏切り、そして裏切られて生きてきたのだろう。
管理人には、手を差し伸べることはできない。
彼が選んだ生き方なのだから。
4時30分になった。あ氏の予告した時間である。
しかし、未だターゲットは現れない。
更に15分ほど経過した頃、あ氏の足元に水柱が上がる。
セイゴをバラシたらしい。しかし、動じていない。
目元には余裕の笑みが有る。
そして、すぐに管理人のロッドに反応が有った。
露払いにふさわしい、セイゴの登場である。
約20cmのセイゴである。
この組織に入ってまだ、間が無いと思われる。
あ氏のターゲットには役不足であろう。
東の空に僅かに赤みが射してきた頃、あ氏の動きが激しくなってきた。
管理人には感じ取れないが、ターゲットの動きを察知したらしい。
管理人からそっと離れて行く。
なかなか、めざとい男である。
そして、ついに彼の道具が火を吹き始めた。
まずは、40cmほどのフッコから始まった。
そして、50cm。
管理人はあ氏に指示を受け、近づいて行く。
近づくまでに、60cm。わずか15分くらいの出来事だったはずだ。
約60cmのシーバス。
あ氏の不敵な面構えである。
ターゲットを得た余裕であろうか。
管理人が写真を撮って離れようとしている時に、ひときわ大きな当たり。
てこづっている。かなりの大物のようである。
腰を折って、必死に耐えている。
遠目にも、ロッドの曲がり具合で大きさが推測される。
しばらくのやり取りの後、いきなりラインテンションが消え去った。
フックが伸ばされていたのである。
あ氏は破れた。
目に狼狽の影がかすめる。
しかし、相手がちょっと上手だっただけである。世の中は広い。
そして、再びあ氏は武器を取り上げた。
迷いは、既に消えているようだ。
そして、怒涛のヒットの開始である。
一投目に、63cm。写真を獲る暇も無くリリース。
2投目、50UP。
一投の無駄も無く、連続して5匹ほどのターゲットを射止めた。
ここでの成果は、40UP X 4、50UP X 3、60UP X 2に及んだ。
狙撃開始からは、20投もしていないはずである。
恐るべき命中率である。
その間、管理人はネットを持って、ウロウロするばかりであった。
と、突然あ氏はキャストを辞めてしまった。
一言、’もう、満足しました’。
潔い言葉である。
血の猛りが、収まったのであろう。
良いだろう。
今日だけは、花を持たせることにしよう。
セイゴ一匹では、説得力は無いようだが。
おそらく、若者は満足してくれた事だろう。
再会を誓い、満足した気持ちを胸に、待ち合わせた駅まで送ることにした。
別れた後、ふっと首筋に気配を感じた気もしたが、バックミラーには何も映らなかった。
そう、彼はスナイパー。
簡単に見つかるところには、潜んでいないはずである。
管理人は、深くアクセルを踏みこみ、大急ぎでその場を離れたのである。
これしか、読んでおられないかたには、きっとなんの事だか分からないと思います。
その時は、’ハードボイルドの夜’編を読んでみてください。
とりあえず、川崎周辺でのシーバス釣りは完了です。
しかし、すごい勢いでした。
後にも先にも、あんな経験は無いのではないかと思います。
続ければまだ釣れたはずですが、釣りすぎても仕方ないと判断したのでしょう。
とにかく、お見事でした。