頼朝のめいれいをうけて、笹目忠太(ささめのちゅうた)が、
おおぜいの軍兵をひきつれ義経をさがしています。
「おお!こんなところに静御前がいたぞ、」
「きっと義経もちかくにいるはずだ」ととりかこんだところ、
ドッガーン!と天もわれんばかりの雷鳴がとどろき、風がふきあれ、
「まてーい!」かみのけをさかだて、
いかりにもえた佐藤忠信(さとうただのぶ)があらわれました。
あっというまに軍兵をけちらし、
鼓をもってにげようとする、笹目忠太をとりおさえました。
神社のかげからみていた義経は、
「よくぞ、あぶないところをすくってくれた。」と、
しんらいしていた忠信がきてくれたことを、たいへんよろこびました。
そして、 義経たちは静御前を忠信にあずけて、
みかたのいる九州へと、たびだっていきました。
しかし、忠信からは、なにやらにんげんとはおもえぬ妖気が
ただよっています。
そうです、さっき木のかげからのぞいていたきつねがばけた、
狐忠信だったのです。
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