10/12 セミナー「区域外避難(自主的避難)と東電賠償の最新情報」 in 福島

2011年10月12日(水) 13:00〜16:00
会 場 福島テルサ あぶくま (福島市上町4-25)  
内 容・「自主的避難」と賠償問題〜論点整理
・最近の情勢〜原子力損害賠償紛争審査会の議論のゆくえ
・法律家としての見解
・特定避難勧奨地点をめぐる諸問題 など
講 師 阪上武(福島老朽原発を考える会代表)、 満田夏花(FoE Japan)
    主 催 国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
協 力 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)、
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク


(一)10月12日、福島市でのセミナーに参加して
   ――高線量地区、大波、渡利の避難指定却下に直面して


 12日に、福島市で行われた避難の権利をめぐるセミナーに参加してきました。
 このセミナーは、この間、東京で交渉やセミナーを主催や講演してきた団体(フクロウの会、FOEJapann、子ども福島など)が、ほぼ同じ内容を福島でも計画したもので、以前から予定されていたものです。
 しかし、8日に、渡利地区に対して、国、県、市当局は、実質上、特定避難勧奨地点指定しないことを言い渡しました(避難の意思が元々ない二つの寺をアリバイ的に指定するなどの見え透いたポーズも使って)。福島市の渡利地区、大波地区、小倉寺地区などは、従来から高い放射線が計測され、6月の政府交渉時から避難指定を強く申し入れてきたものです。しかし、20mシーベルト/年以上という政府が定めた避難区域の基準を越えたところが多くあるにもかかわらず、政府や県、市当局は、避難指定を伸ばし続け、遂に、「安全」だからではなく「経済を縮小させないため」「除染でいずれ安全になるはずだから」と避難区域指定を却下するに至りました。―――これは、現在、日本で、日常生活の場としては、最も高い放射線量にさらされている地域ですら、避難の権利を認めないという、政府、県、市当局の、住民の健康・生命よりも経済を重視するという人権否定の姿勢をむき出しにしたものです。
 500人が参加した住民への渡利地区の説明会では、納得しない住民の質問に、国、県、市は、なにひとつまともに答えないために、7時から0時におよぶ追及の場となりました。
 一例を挙げると、南相馬市や伊達市では、子ども、妊婦に対してより厳しい基準を設けているのに、なぜ福島市ではそうしないのか、という質問に対して、当局は「ロケーションが違う」というこの言葉だけを繰り返したというのです。この言葉で何かを理解した人は皆無だろうと参加者がいっていましたが、当然です(「ロケーション」=「位置」「場所」といった意味なので、南相馬市や伊達市と福島市では「場所が違う」ということだけを(わざわざ外来語にして分かりにくくして)繰り返したことになります)。
 こうした8日の避難区域指定却下、説明会の直後なので、この12日のセミナーでは、渡利地区の報告や、福島での避難をめぐる取り組みの討議などが論議にのぼることになると思われました。
 私は、こうした現地の空気に少しでも触れて状況をつかみたいこともあって、直前で参加を決めたものです。
 セミナーは60名ほどの参加で、福島市、伊達市、南相馬市など各地からの参加者があって、避難したくともできない人や、伊達市で特定避難勧奨地点からはずされた人、渡利集会に参加した人、南相馬市で避難問題やプルトニウム検出などに取り組んでいる市議など参加者が多彩でした。東京では聞き難い様々な意見、疑問などの活発なやりとりがあり、急遽参加した甲斐が多大でした。
 
 「渡利地区」は、福島市の一部で、人口1万6千ほどのかなり広い地域です。なお、福島市の人口は28万ほど、福島県は300万弱です。
 福島駅を降りて、駅前から東に、市街が続く車道を15分くらい(約1Km)歩くと阿武隈川にぶつかります。渡利地区はその向こう側に広がっています。福島駅から非常に近く感じられます。
 この渡利地区が、今、住民の日常的な生活の場としては、日本で、最も放射線量の高い地域の一つになっています。
 
 今、政府や県、市は「除染」の大合唱で、大波地区説明会では、冒頭から、「避難は福島の経済を縮小させるので除染で行く」(福島市当局)と、住民の健康や生命より経済を重視する姿勢をむき出しにして、特定避難勧奨地点指定を却下しています(9月3日、大波地区の説明会)。 
 しかし、除染のモデル地区として、当局が必死に線量低減を示そうとした大波地区でも、平均して7%程しか下がらず、それどころか、この間、線量が大幅に上がったところもあります(小倉寺では、6月の931KBq/m2が、約5倍になっています。931Kbq/m2は、約7〜8mシーベルト/年に相当する元々高い値です)。これは、背後の山から放射性物質が流れ込んでくるためです。
 渡利地区も状況は同じです。
 実際、渡利地区を見ると背後に山が連なっていますが、渡利だけでなく、福島市全体が山に囲まれています(定説ではないものの、福島市はかつて湖であったという説もあることが実感できます)。福島市全体の線量が高いことの一因かも知れません。
 
 今、福島原発事故による放射能汚染が全国に広がっています(日本に止まるものではありませんが)。各地で、放射能から身を守る取り組みがなされています。
 現在、政府が放射能拡散を防ぐ施策をとっていないので、この取り組みは、より多く、自主的な取り組みに委ねられています。住民自らの環境や、給食をはじめ飲食品の計測、除染、自治体への要請など、これらの活動は、それ自身、積極的な意義をもつもので、より一層発展させる意義があります。
 しかし、同時に、この放射能汚染は、自然災害ではなく、政府、東電の責任によるものです。国家レベルでその責任をただし正当な賠償を引き出すこと、そして、全国的視野での放射能からの防御体制を進めることなしには、放射能からの防御も極めて限られたものになります。
 日本の居住地域として最も線量の高い福島県の渡利をはじめとする地域で、原発事故被害者としての正当な権利(賠償、避難の権利など)が認められないならば、相対的には線量の低い全国各地では、より一層、政府・行政は、放射能汚染についての責任を負わせることが困難になります。今、政府・行政は、これを、見通しのない「除染」でお茶を濁そうとしています。除染対象区域を5mから1mに下げるという「英断」は、その後、IAEAに「線量の低いところまでやることは効果的でない」と批判させ、うやむやにするシナリオが出来ていたのでは、という疑惑をおさえられません。
 福島市の中でも線量の高い大波地区や渡利地区の「避難の権利」をはじめとする正当な権利を確保することは、全国で被曝被害を受けている住民全体が正当な権利を手にして行く重要な要であり出発点です。
 そして、これらの地域で、正当な賠償を獲得して行くことは、たしかに、「天文学的な」賠償額を要するものですが(といっても、たとえば防衛費に比べれば大したことはありません)そのことは、原発のコストを正当に高いものにして、原発が採算的にもみ合わないことを、浮き彫りにすることによって、原発=安価のデマを実質を持って否定するもので、原発廃止への重要な力になります。
 原発利権にまみれた佐藤雄平福島県政が、その原発で事故を起こし、住民を深刻な被曝にさらすことになったにもかかわらず、もしも、山下俊一などを使って「安全デマ」で住民を押さえ込み、表面上、「普通の」県政を続けることができるなら、同じような原発利権首長は、「事故が起こっても何とかなる」と、大いに力づけられ、原発運転継続・原発再稼働への傾きを強めるでしょう。
 反対に、正当な避難の権利が認められ、高線量地域から住民が去ることになれば、佐藤雄平県政、それをとりまく首長・有力者などの利権が、彼らの税収を含めて崩壊します。事故を起こした代償がこうしたものであることを見せつけられるならば、他の原発立地自治体の利権集団も、原発運転の自らにとっての危険も実感せざるを得なくなります。
 放射線量が最も高い地域での日常生活を強いられている福島の子どもをはじめとする住民が、避難の権利を獲得し、疎開・避難を実現すること、あるいは、避難できない人が正当な補償をえることなどは、福島に止まらず、全国の住民が、健康・生命を防衛できるあたりまえの人権を守れるのかどうかの重要な分水嶺です。そして、同時に、原発廃止にとっても重大な意味をもつものです。

 (二) 10月12日「避難の権利」をめぐるセミナー

 この日のセミナーの前半は、現在、原子力損害賠償審査会での、避難の権利をめぐる審議状況報告と、この間の大波、渡利などの調査、放射線量の報告、除染効果などの報告を中心とするものです。
 実は、これは、10月3日、参議院議員会館で行われた集会・政府交渉の場での報告とほぼ同じです。
 ただ、この10月3日については報告していないので、この機会に、この部分の報告も行います。


  (1)、報告――「自主避難」への補償、4月22日分断

 原発事故にかかわる避難をめぐって、たとえば、10月9日の『朝日新聞』は「引き裂かれた福島」という表題で、避難住民の追跡アンケートを掲載しています。しかし、避難者が、避難区域からの避難者なのか避難区域外からの「自主避難」者なのか一切記述されていません。
 今、避難者といえば、多くの人は、津波被害による避難者同様、国の一定の補償、援助があるものと受け取るのではないかと思います。しかし、原発事故で県外に逃れた「避難者」の多くは、政府から見れば、単なる旅行者、引っ越しで、この間、一切の補償を認めてこなかった存在です。
 政府は、この間、避難区域外については、「物」の被害を認めるだけで「人」の被害は一切認めていません。避難区域を一歩出れば、あるいは、それどころではなく、隣が特定避難勧奨地点に指定されても、そこより計測値が0,1μ低かっただけで(例えば、3,1と3,0)特定避難勧奨地点から外れれば、「放射線管理区域」(=0,6μ以上)の何倍もの被曝を強いている人たちに対してさえ、避難の権利を認めず、なんの補償もしないという姿勢を貫いてきたのです。
 しかし、「自主避難者」の置かれた状況を伝え、補償を要求する行動を繰り返した成果もあって、原賠審は、「自主避難」へのゼロ回答を続けることは、さすがに困難になっています。
 とはいえ、ストレートに「自主避難者」への補償を認めるのではなく、とんでもない「奇策」を持ち出してきました。
 それは、4月22日以前、原発の状況が良く分からずに恐怖で避難した人たちと、4月22日後、放射線量なども明らかになった以降に避難した人たちとは、別のカテゴリーとして捉えられるという「理屈」です。
 これは、原賠審の論議によれば、4月22日以降は、飯舘村の「計画的避難区域指定」が決まり、避難すべきところは避難指定した後なので、これ以降の「自主避難」は補償しない、という伏線です。
 これは、二重三重に許し難い論議です。
 第一に、高線量地域からの移住を、あくまで「避難」とは認めないという姿勢を貫いています。
 第二に、住民が、原発事故の脅威について、4月22日を境に、正確な認識を持てるようになった、というのですが、こんな境界線があるはずもなく、また、実際問題として、迷いながら避難が4月22日後にずれ込んだ人も多くいます。しかし、そのわずかの遅れで補償が一切なくなるというのです。
 (こうした理不尽な線引きは、難民法に長らくあった「60日ルール」を連想させられます。これは、到着して60日以内に申請しないと、難民申請の資格がなくなるという物です。現在は、一応改訂されました)
 
 10月3日、原賠審事務局田口を相手にした政府交渉では、「自主避難」中の人も多く参加し、4月22日線引きが実状にまったくそぐわないこと、「自主避難」者や、避難したくとも出来ない人の声を聞くための公聴会を持つべきだという要求を突きつけました。 原賠審は、農産物被害などをめぐっては、すみやかに公聴会を開いていますが、田口氏は、被曝の賠償(避難補償を含む)をめぐる公聴会については言を左右にして拒み続けました。
 
 しかし、その後、20日に公聴会開催が決まりました。
 当日は、公聴会に合わせて、旧文科相前での行動が行われます。
 
 大波、渡利、小倉寺地区の線量と除染
 これは、フクロウの会とFOEJapannが、神戸大学の山内知也教授(放射線エネルギー応用科学)に依頼して9月14日に行った渡利地区の放射能汚染調査報告を中心に、汚染状態を報告したものです。
 図表や、地図に示した線量など、ここでは、紹介できませんが、「渡利・小倉寺の5カ所で採取された土壌のセシウムの放射能濃度を平方メートルあたりに換算したところ、換算計数を控え目に20とした場合でも、5カ所中4カ所において、チェルノブイリの特別規制ゾーンに相当し、残り1カ所も移住の義務ゾーンに相当するという驚くべき結果となりました」という調査内容などが報告されています。

 なお、チェルノブイリの特別規制ゾーン、移住の義務ゾーンなどの数値を上げておきます。
           泥鰌汚染 セシウム137    被曝料(年間)
             (kBq/m2)
            
 特別規制ゾーン    1480以上           
 移住の義務ゾーン    555以上         5ミリシーベルト以上
 移住の権利ゾーン    185〜555       1ミリシーベルト以上
 徹底的なモニタリング
   ゾーン          37〜185        0,5〜1ミリ
 
 なお、放射線管理区域は5,2ミリシーベルト
 また、白血病を起こした原発労働者は5ミリシーベルトで労災認定を受けています。
 今、渡利、大波の多くの地域が、5mをはるかに越えています。
 なにしろ、福島市の除染目標が1μシーベルト/時(単純時間計算すれば、8,7mシーベルト/年なのです)
 20mシーベルトまで安全として避難の権利を認めない現状が、如何にひどいものであるのかを、この数字が示しています(実際は、20mを超えても、あれこれ口実を付けて認めていません)。そして、今の日本が、チェルノブイリ事故後の旧ソ連をはるかに上回る人権無視国家であるのかも浮き彫りになっています。

  
 (2) 質疑、意見など

 (以下、会場からの質問・意見などを「A」、それに対するレポート報告者の回答を「B」としました)
A 福島市に止まっている。
 自主的に避難した人もいるが、したくても避難できない人も大勢居る。
 自分には子ども夫婦がいて、その子どももいるが、夫婦とも仕事を持っているため福島を離れられない。
 こうした状況に置かれている多くの人の声なき声を届ける方法はないか。
 
B 広く声を集めて、80P程の意見書をつくり、原子力損害賠償審査会の事務方に提出した。
  10月3日には議員会館に300人ほどが集まり、福島からの自主避難者も集まって、置かれた状況を聞いて貰うよう、原 賠審の事務方に公聴会を要求した。
 この公聴会が20日に開かれることになった。
 公聴会で発言できる人数は限られるので、同じ日に、自主避難者に集まって貰い、会場の外で行動を計画している。
A いろいろな組織が福島のために活動している。
 横断的につなげないか。
B 10月3日の政府交渉では、原賠審事務方の田口氏は、農産物被害などではすぐ公聴 会を開くのに、自主避難をめぐって 開かない理由として全国組織がないことを上げていた。
A 避難したくともできない人が大勢居る。
 補償が有れば避難できるという人もいるのではないか。
A 8月に京都に避難した。
 祖父が、子どもを避難させるように言う。
 東電は、被災者が声を上げないと補償する気はないのか。
B 補償・賠償の自己責任は東電で、国がそれを支える仕組み
 国は、原賠審で補償の範囲を決めようとしている。
 「自主避難」については、補償する方向にはなった。しかし、その範囲を、4月22日以前までというように、狭くする動きもある。
 事故直後の避難者は認めるが、時間が経ってからの人には認めないという論議が原賠審でされている。
 東電は、原賠審にかかわらず損害を支払うべきだが、東電への申請に対して、東電は、今、原賠審での審査中だということで拒む例が多い。
 東電は、原賠審で示された分を支払うという姿勢。
 原賠審が示せば、補償せざるを得ない。
A 最初の避難者は良いが、後からの避難者がだめと言う理由は?
B 4月22日に、計画的避難区域を設定。
 20mシーベルト/年を下回る地域には健康被害は出ないという評価を出し、避難区域外からの避難は「自主的避難」であるとする。
 つまり、4月22日までは事態が分からず、恐怖感を持って避難した合理的理由があるが、その後は、事態がはっきりつかめるようになったので、避難の合理的理由はないという解釈。
 とても認められない。
A 事故が起こる前から知識を持っている人などほとんどいない。
  最初、大丈夫という政府の宣伝がされた。それを真に受けて避難しなかった人も多い。 子どもが3人いるが、2人が京都 に避難した。人間関係などがあって、すぐには行くことができず、8月に行くことになった。
 京都府の公務員官舎に入ることが出来た。取り壊し予定のところだったが、修復して避難者を受け入れている。
 放射線の強いところから子どもを逃がすため、父母が離ればなれになった。この状態が、いつまで続くのか分からない。
 右となり、左となりの家も父母が別れ別れになっている。山形に避難した人は、別れ別れになってすごい悩みを話している。
 行政の人たちは、そのことを感じているのか。
 月一回とか二回とか会いに行くだけでも交通費がかかる。
 これだけでも補償して欲しい。
 JRの無料切符を出せば、どこの負担にもならない。
 団体で話をまとめて政府に要求しないと通らないのではないか。個別に政府に要求して通るのか。
B 出来るだけ声を集めて出した方がいい。
 健康被害に関して、20mシーベルト/年で線引きしている。
 しかし、20m以下なら安全とは言えない。このことは原子力安全委も認めている。
 5mでも1mでも健康被害は起こるかも知れない。
 子ども、妊婦から優先的に守られなければならないと言うのは合理的。
 どういう情報によって不安を感じて避難したのか、どういう情報で不安を感じながらとどまったのか、など、アンケートに出来るだけ書いていただきたい。
 「自主避難」が根拠有る情報に基づいた判断であったことを示すことは、原発事故と「自主避難」の関係や、原発事故と止まった人の精神的被害、県湖被害の可能性などを示す説得の材料になる。
A 渡利に住んでいる。
 説明会には腹が立った。
 原賠審では、4月22日を境に@Aの二つのカテゴリーに分けるという。
 専門的な知識を持つ人たちは先に避難している。
 しかし、TV、政府、保安院は、健康被害はない、家にいなさいと言っていた。
 知識がない人間は、危険を知らずに福島に止まった。
 4月22日まで避難しなかったので補償対象にしないというのは納得できない。
B 原賠審事務方は、@Aにわけるのは、そこで補償をうち切るという意味ではなく、双方に補償を出す根拠を検討している、などと言っている。
 そうであれば、@Aとも補償を認めるという前提で話を進めなければならない。
 4月22日の後も、小佐古参与辞任や、メルトダウンが明らかになるなど、危険を示す情報が出てきている。4月22日以降は事態がはっきりして安心できるようになったなどという状況になってなどいない。
A 自主避難者の賠償と残った人の賠償との関係は。
B この問題は、特定避難勧奨地点指定の問題とは一応切り離して考えた方がよい。
 指定されなくとも、避難した人は補償を受けるべき。止まらざるを得なかった人は賠償を受けるべきである。
 それとは別に、特定避難勧奨地点に指定されれば100%補償が認められる。特定避難勧奨地点も、より広く認めるべきである。
 
A 除染などの廃棄物の最終処分場について、誰が考えても、福島第一原発の東電敷地内しかないと思うが、なぜ、そのことを明らかにしないのか。
B、現地の双葉町が反対しているので言いだしにくいということだと思う。
A 東電が反対しているのではないのか
B そうではない。
A 除染して、どのくらいで半減するのか。
B 国は、2年目を目標と言っている。
 しかし、モデル地区で7%しか下がっていない。
 福島市は、2年後で1μシーベルト/時、つまり約5mシーベルト/年が目標
 それが実現できても、原発事故前の許容限度の1mと比べると、5倍もある。
 国は、除染によって放射線量を半分にする、子供、妊婦のいるところは60%下げると言っている。
 しかし、放射能の自然減衰と雨などでも、2年になれば、そのくらい下がるところもあるかもしれない。
 除染自身の効果は、おそらく10〜20%
 そして、半減と言っても、元の線量が高ければ半減後も高い。
 本当に半減できるのかもはっきりしない。
 渡利は、雨で放射性物質が流れてくる。
 しかも、仮置き場がないところで、いつ、本格的にスタートできるのか。
 どのくらいで半減する、というはっきりしたことは言えない。
 一年後、除染でこうなる、とはいえない。
 放射能から身を守るには、除染一辺倒ではなく、除染と避難とを組み合わせなければならない。
A、小倉寺の稲荷山は6月から9月で5倍ということは、山の上の方が線量が下がってい るということか
A、長い目で見れば、そうなる。
 その先生いわく、線量を減らすとすれば除染しかない。
 家の周りだけではだめ。放射性物質は高いところから低いところに行く
 雨が降れば高くなる。
 共産党議員が、渡利地区全体を測定するということで参加を呼びかけてきた。
 東の高い地区だけ測定してもダメだということで、地区全体を測定した。
 地区全体を測定して取り組まないと除染にならない。
 市の除染の専門家も同じことを言う。
 ある家だけを除染しても、同じことになる。
 広範囲の除染しかない。しかし、むずかしい。
 除染と共に、避難しやすい環境をつくることを並行することが必要。
 TVの報道などでは、放射線量の低いところばかりが取り上げられている。
A、福島市で洋服店経営をしている。
 除染は、今まで、何千回、何万回言われたが、だれが何を どうするのかが不明。
 仮置き場というが本置き場になるのではないのか。
B 除染は、はやり言葉のようになっている。
  山内教授は、市のモデル事業に対して、これは除染とは言えない、少なくとも、年1mの状況をつくらなければ除染とは言えない、線量が高いままでは除染とは言えない、と言っている。
A 除染の言葉の意味は
B もとは、作業を終えた作業員などが、服の汚染を落として防御することなど。
A 仮置き場 8月にまだ決まっていなかった。
A 仮置き場を大波地区の近くに作る話があり、それが前提になっている。
しかし、大波の人に聞くと、市長と自治会の数人でいつの間にか決めていている
 渡利については仮置き場は決められていない。
 自分の庭のどこかに埋めておけと言われた人もいる。
A 渡利の役所にいる。
 同じ渡利に居ても温度差がある。
 私の推測だけれども、危機意識を持つ人とそうでない人、なりゆき任せの人がいる。
 私ごとになるが、毎日新聞のインタビューを受けた。yahooニュースに掲載されているという。「放射能関連、毎日、うらさわ 記事」で検索してもらえばで良い(これは、検索してみましたが、私がやった範囲では出てきません)。
 このインタビューで、私だけでなく、避難した人も、やむをえず現地に住み続けている人もいることが分かっていただけると思う。
 10月8日、渡利地区の説明会は、7時〜午前0時までになった。
 その間、明確な回答は何一つない。
 その場で感銘したことは、相馬(南相馬?)の市会議員が、相馬では、子供、妊婦について、より厳しい基準を設けているにもかかわらず、なぜ福島でそのようにしないのか、と追及してくれたこと。
 それにも回答がなく、除染すべきというだけ。
 それも、除染した廃棄物をもってゆく場がない。いつから、どのようにかの計画もできていない。
 渡利の子どもを守る会、フクロウの会、FOEJapannが遠方から来てくれている。
 渡利のために活動してもらっていることを感謝している。
 次の節目にも、セミナーを多くの参加でやりたい。
 出来る範囲で力を合わせていかなければならない。
 市会議員や国会議員一人一人を探して、政府に福島の現状を話してもらう手立てはないか。
 いろいろな討議の場で、具体的に話してゆくより、自分自身の境遇を訴え会う面が多くなる。
 セミナーに参加して、状況を具体的に掴んでゆかなければならない。
A 南相馬市で市議をやっている大山です。
 福島県民は親が立ち上がらなければならない。
 今は、内戦、戦争状態。
 法治国家なのに法が守られていない。
 1mシーベルト/年であったものを、事故後、根拠なく20mにあげる。
 人命を優先しない。
 国は、放射能汚染が広がれば、それを防ぐのではなく、それに合わせて、20mにあげればいい、100mにあげれば良い、という発想でやっている。
 汚染の大きいところは、除染はできない。元には戻らない
 3・11以前には戻らない。
 地元の人には冷酷な事実を突きつけることになるが、原発周辺など、除染をやる前から、帰れない土地であることは明らか。
 原発はトイレの無いマンションだったが、除染も廃棄物のトイレがない。
 安全デマによる攪乱が行われている。モニタリングも同様。
 空中からの測定など、今頃、いろいろ発表しているが、最初の段階で測定され分かっているはず。
 ガンマ線だけをはかって、危ないプルトニウム、ストロンチウムをはからない。
 除染にしても、危険なものをどうするのかなしに、ただ洗い流すだけ。
 南相馬では、命を守るため、いろいろなことをやってきた。
 署名を五千集め、市長に突き付けた。
 土壌調査を要求しすべての核種、31核種の調査を要求した。
 重要なのは、空間線量以上に土壌の汚染度。まず、土壌をはからなければならない。
 空間線量は、土壌汚染に基づいている。
 土壌の汚染度合いによって、避難の権利を明確にすることが必要。
 南相馬市では、避難計画を立てていると言うが、福一に何かあった場合、福島市に逃げることになっている。しかし、南相馬から福島市へは道路が限られている。
 にもかかわらず、原発に何かあれば、どこからか避難用の750台のバスが忽然とあらわれることになっている。
 こんな架空の計画より、スピィーディーで避難計画を立てることが重要。
 市に公開質問状をだし、土壌調査を行うこと、狭い地点ではなく区域に渡って調査すること、スピーディーの利用、「緊急時避難準備区域」解除後の小学校再開を止めるようにといった要求を出している。
 9月に国に土壌調査を要求し、避難区域解除できる状態ではないことを明らかにすることを追求したが、9月30日に解除されてしまった。
 何が何でも地元の土地にはりついて税金を取るという姿勢。
 自分は高校教員から市会議員になった。
 職員は高すぎる。ワークシェアリングすべきだ。
 最大限、世論に発信する 3万から反応が来ている。
 打開策として、あらゆる国会議員と直談判してきたが、議員はやろうとしない
 弁護団をつくってやる。
 避難をめぐっては行政との取引も考えている。
 渡利、小倉寺の行政も焦っている。
 仮置き場、除染を手伝うので、そのかわり、特定避難勧奨地点の指定を受け入れよという取引をやって行こうと思っている。
 
【この後、6月6日の保安院からのIAEAへの報告と9月30日に文科省が発表した「プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について」とを検討などを通じた「疑惑」が述べられています。
 その骨子は、IAEAへの報告では、原発から31種の核種が放出されていると述べているのに、9月30日の文科省発表では、プルトニウムを3種としている。しかし、IAEA報告からも、プルトニウムが4種であることは明らかで、プルトニウムに2,3日で変わるネプチウム239が隠されている。実は、これがけた違いに量が多い、といったものでした。
 この部分を正確にメモをとれなかったので、大山市議のブログを参照すると、以下の内容がありました。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 (以下貼り付け)
 
9月30日に土壌から検出発表されたプルトニウムは
Pu238(6月6日放出量0,019 兆Bq)
〃239(    〃  0,0032兆Bq)
〃241(    〃   〃    )
_______この3種についてのみでした_________
6月6日保安院報告書の
  放出したプルトニウム241(1,2兆Bq)も 未発表。

さらには
 未発表のPu239に2,4日で変わる膨大なネプツニウム239。
こちらは なんと 76兆Bqもあるのです!!
  
 (貼り付け終わり)
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 となっています。
 詳しくは、大山市議ブログを参照ください。
   ↓
  http://mak55.exblog.jp/   】
――以上、質疑、討論では、活発なやりとりがあり、メモをとれていないところがかなりあることをお断りします。
                             (報告以上)
          ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇
 (余談)
 南相馬市は、福島第一原発の北方で、線量の高い飯舘村、伊達市、福島市と比べて原発の近くにあります。
 しかし、原発爆発当時の風向きの影響などもあって、それら地域よりも線量の低いところがあります。
 それに対して、大山市議は、プルトニウムが大量に放出されている可能性があると捉え、南相馬市もプルトニウムに汚染されている可能性を危惧しています。
 ところで、大山市議は、文科相が公表した資料の核種から、隠されているものがあることをつかみ、この検討を行っていますが、まったく別筋から、この可能性に触れたサイトがありました。
 それは、今の経産相、当時、「直ちに健康被害はない」官房長官だった枝野の福島訪問をめぐるものです。
 記憶のある人もいると思いますが、このとき、枝野は、まるで宇宙服のような放射能防護マスクで頭を覆い、服は、やはり宇宙服のように、手足部分に隙間のないように密閉しています。
 この姿で南相馬市を訪れたので、枝野は「安全」と言いながら放射能を怖がっていると笑いものに(あるいは、当然ながら怒りの対象に)なりました。
 しかし、これは一面だけだったようです。というのは、この日、枝野は、福島市、飯舘村、川又町、南相馬市の計4カ所を回っていますが、この日の他の立ち寄り先の放射線量は、どこも、南相馬市より高いというのです(福島市 1,7μSv/h 飯舘村4,28 南相馬市0,6)。にもかかわらず、枝野は、他の訪問のときには、平服になっていて、南相馬を訪れたときのような防備をほとんどしていません。
 プルトニウムが飛散しないというのは御用学者のデマですが、重いことは確かなので、セシウムが遠方の飯館村、伊達市、福島市などに飛んだとき、プルトニウムがちかくの南相馬に大量に降った可能性があるのではないか、枝野は、それを知っていたか、あるいは、その可能性を考えて、南相馬市にゆくときだけ異様な防備をしたのではないか、あくまで推測だが・・・というのが、そのサイトでの意見でした。
 これが当たっているのかどうか、プルトニウムが南相馬市をはじめ広範に飛散しているという推測は、当たっていなければ良いのですが、しかし、プルトニウムやストロンチウム飛散の問題は、大山市議の分析や、神奈川でのストロンチウム検出からも、楽観してだけはいられません。
 とりあえず