■「自力(自主)避難者への賠償を! 紛争審査会は中間指針に明記を!」集会(7月29日)の報告

 この集会は、29日の12時から1時過ぎまで、「原子力賠償紛争審査会」が、この日「中間指針(案)」を提示することに合わせて、行われたものです。
 文科省旧館前に50名ほどが集まりました。マスコミは相当来ていたようです。

 この日の主催団体の中心である「福島老朽原発を考える会」や「FoE Japann」は、5月23日の子供への20mシーベルト撤回対文科省交渉、6月30日の避難区域拡大、子供の疎開・避難のための対政府交渉などを中心に取り組んできた団体で、この日の審査会傍聴と集会も、その延長にあります。

 集会では、先ず、次のポイントが指摘されました。
 1,やむにやまれず自力で避難せざるを得なかった避難者が多くいること。
 2,避難者は、子供の避難を優先して二重生活を強いられるなど家計が圧迫されていること
 3,避難区域の基準が高すぎること
 4,自力(自主)避難者にも賠償を
 ―――という内容です。

 集会には、福島から自主避難してきた人たちも参加し、避難してきた状況や、同じような立場にありながら福島で避難できずにいる人たちについての具体的な報告が行われました。

 政府の避難区域の基準は、以前として20mシーベルト/年で、チェルノブイリ事故に際しての1mシーベルト(権利)、5mシーベルト(義務)に比べても、はるかに高い基準です。その上、福島市内に、年20mを越す怖れのあるホットスポットが多く見つかっているにもかかわらず、避難区域指定を行わずにいます。
 学校では1mシーベルを目指すと言いながら、6・30の交渉では、文科省は、それは学校だけのことで、他の被曝は知らない(自分たちの管轄ではない)と言い、通学路どころか給食も「総計」の対象からはずすという途方もない見解を表明しました。
 生徒が全体でどれだけ被曝するかなど問題にしない、学校(いったいどの範囲か?)だけで1mシーベルトを目指せばいい、ということを繰り返したのです。
 参加者は怒りを爆発させ、生徒の全体の被曝は、どこで扱うのか、窓口はどこか、とつめより、政府側は、この日、答えられずに逃げています。
 さらに、7月19日の福島での政府交渉でも、政府側は、持ってきた子供たちの尿を(約束通り)計測するため持っていってくれという親たちを振り切って逃げて行く有様でした。
 こうした状況で、子供の健康を当然ながら心配する親に対して「利己的」(山下俊一)などの罵倒が浴びせられ、孤立させようとする動きが県全体にあります。
 こうした中で、高い線量の中に子供を置いておくことが出来ず、やむにやまれず「自主」避難せざるを得ないところに追い込まれた人たちも多く出ています。
 にもかかわらず、「自主避難」について、政府は、これまで、冷淡な対応を取ってきました。

 紛争審査会では、当初、自主避難への賠償も検討対象に入っていたものの、途中から消えています。
 これを質したところ、文言で消えているだけで検討対象から外していない、などの回答があったものの、信用できないものでした。
 そのため、この日の中間指針案に自主避難を対象とすることを要求し、それを監視することが、この日の課題でした。 

 この日の様々な発言の中で、福島から逃げてきた二児の母親のNさんは、
 「補償が全くないということが、多くの人たちに避難を躊躇させている。
 かりに少額でも、補償が出ることは、避難の正当な権利があることを国が認めたことになり、それだけでも避難に踏み切れる人がずいぶんいる」
 と訴えていました。
 避難にかかる経費は甚大です。私は、少額の補償ではほとんど役に立たないと思っていましたが、少額でも、補償が有るか無いかということが、当事者にとって決定的に違う、という福島の人の話しを聞いてなるほどと思いました(勿論、少額で良いことはないのですが)。

 (残念ながら、後日分かったことでは、中間指針には、「自主避難」の言葉が織り込まれていないことが明らかになりました。
 「自主避難」への賠償は、避難区域拡大、子供たちの疎開・避難実現と共に、被曝者を支援する闘いの柱として、なんとしても実現しなければならないものと思います)

 とりあえず