質疑応答のコーナー           2000年7月5日

 

下記のような質問がありましたのでお答えいたします。

 

*** 質疑-1 ***

>1.  ムーンベースMの真ん中からMの両端に有るロケット発射場に発射信号を送る。

>2-a. M上からは、2台のロケットは同時に発射されたと認識される。

>2-b. M上空を通過中の亜光速宇宙船Aから見ると、2台のロケットは

>   時間を隔てて発射された様に見える。

>3.  この時もう一機、亜光速宇宙船Bが宇宙船Aの真反対の航路から進入して

>   来たとすると、そのとき2台のロケットはどのように見えるのか。

>

>  以上の内容を、新理論の時間論で解釈するとどうなるのか?

 

 

*** 応答 ***

 結論から言うと、光速が有限速度ですので、新理論においても状況によって同時に見えたり、ずれて見えたりすることになります。このことを図1を用いて説明します。

 

 図1において、ムーンベースMの真ん中のMから両サイドに、それぞれ15kmづつ離れた場所(点Lと点R)にロケット発射場があるとします。このときY軸は、時空境界(STB)の運動方向(MDS)を意味します。つまり、空間が1次元、MDS1次元という2次元絶対時空モデルとなっています。点Lと点Rからの光の時空線はそれぞれ45°ラインになり、破線の矢印で記されます。亜光速宇宙船AとB(以下においては、単にA、Bと略す)の速度は0.5Cに設定します。このような設定で、M地点からL地点とR地点に向かって発射信号を発します。この発射信号を図1では点線で記します。その発射信号がL地点とR地点に到達したとき、AとBが点Mを通過するとします。AとBの時空線は実線で記します。時刻は、それぞれ点Mを通過した瞬間をゼロとして計算します。

 

 以上のように状況設定した場合、

1. AがロケットLの打ち上げを確認するのは0.0000288秒後(TA1)であり、ロケットRの打ち上げを確認するのは0.0000866秒後(TA2)です。

 これに対し、

2. BがロケットRの打ち上げを確認するのは0.0000288秒後(TB1)であり、ロケットLの打ち上げを確認するのは0.0000866秒後(TB2)です。

3. 点Mにとっては、発射信号を発した0.00005秒後にAとBが点Mを通過し、さらに、その0.00005秒後(TM1)に、ロケットLとRが同時に発射したことを確認します。

 

このとき、A、B、Mのそれぞれが、ロケットLまたはRを見た瞬間に、「見たぞ信号」を出すとします。すると、その信号は45°の光の時空線に沿って伝達されますので、

1.      AはTA2において、ロケットRが発射したこと、BがロケットRの発射を確認したこと、ロケットRとLが同時に発射したことをMが確認したことを知ります。

2.    BはTB2において、ロケットLが発射したこと、AがロケットLの発射を確認したこと、ロケットRとLが同時に発射したことをMが確認したことを知ります。

3.    MはTM1において、AがLの発射を確認したことと、BがRの発射を確認したことを同時に知りますが、AがRの発射を確認したことと、BがLの発射を確認したことを知るのは、AとBが点Mを通過した0.00015秒後(TM3)になります。

 

 

このように、新理論においても、同時とは絶対速度に依存する相対的なものとなります。

しかし相対論とは異なって、実測可能な同時とは別に、概念的な同時を想定することができます。これはどういうことかと言うと、空間の任意点Zの時刻に対し、全ての空間点において、その時刻に1対1で対応する時刻が存在するという考え方に基づき、時空境界は同時領域であると考えることができるということです。この考え方に基づくと、TA1とTB1が同時であり、TA2とTB2とTM2が同時であるということになります。

 

 


 


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