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なぜ施設が不十分なことは今の状況から解るのに、もっと施設をつくらないのですか? |
施設を作るには資金や人材が必要です。例えば日本のNGOが施設を作ろうとすると、やはり日本語の話せる人材がいないと計画がスムーズに進みません。ネパールの文化や習慣にも通じていないと、どこでトラブルが発生するかも分かりません。 (例えば、ネパールの法律では外国人は土地を買うことが出来ないと決まっているため、土地をネパール人の名義にする必要があるのですが、そのネパール人が勝手に土地を売ってしまったら大変なことになってしまいます。) また貧しい国だけに人材を間違うと大切な資金を持って逃げてしまう人もいます。 そのため、まずは現地の状況を理解して、信頼できるスタッフと地道な活動をすることから始める必要があります。 また、施設を作ってもその後の子供たちの生活費までずっと用意するのは大変なことなんです。よく日本のNGOがネパールの村に学校を作っていますが、それらも計画がちゃんと出来ていないと先生の給料が払えなくなって、すぐ破綻してしまうことがあるんです。作るだけでなく継続して運営ができるかということが重要なんです。 もうひとつは、子供たちは必ずしも施設に入りたいと思っていないということがあります。施設では多くの決まりがあって路上でのように自由がなく、いじめを受けたりするということもあります。 例えば路上ではタバコやマリファナなんかも吸えたし、自分でゴミ集めをして稼いだお金は自由に使うことが出来ました。勉強もしなくていいし、友達もいました。それが施設では外出も許されなかったり小遣いももらえません。そのためすぐ耐えられなくなって施設を逃げ出す子供も多いのです。 もちろん、施設にいると食事はもらえるし安心して寝る場所もあります。でも自立心の強い子供ほど施設を嫌がります。 そのためNGOのなかには施設だけでなく、路上にいる子供にサッカーを教えたり、様々な相談にのって子供たちとの関係を作っていこうというところもあります。 無理に施設に入れるのではなく、子供たちが困ったときにいつでも頼ることができる場所をつくろうということです。そうしてもし子供が勉強をしたいとか、施設に入りたい、ちゃんとした仕事がしたいと思ったときにはそれに合ったところを教えてあげるということです。 単純に施設を作るだけでなく、しっかりとしたスタッフが子供のことを思いやって活動することが大切で、そうでないとかえって子供たちは施設から逃げてしまいます。 実際、ネパールでは援助はいい仕事なんです。「いい」というのはお金になるという意味です。注意しないと子供をダシにして援助のお金を得ていい暮らしをしようと考えている人やNGOもあるのです。その人たちもまた貧しい暮らしから抜け出そうと必死なのです。 (もちろん、子供を助けたいという気持ちで一生懸命活動している人たちもたくさんいます) |