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現地についておしえてもらえないでしょうか(概要)? |
ネパールのストリートチルドレンの生活の様子などをお知らせすればよろしいですか? ネパールへは2001年に続いて、2002年も4〜5月に行ってきました。 僕が行ったのはネパールの首都・カトマンズです。 そこでは、1000人くらいの子供が路上で生活していると言われています。 子供たちが家を出てストリートチルドレンになった理由には様々なものがあります。 1) 父親がお酒を飲んでは暴力を振るうので堪えられずに家を飛び出した子 2) 親が再婚して、継母にいじめられて出てきた子 3) 家が貧しく、田舎から働きに出てきたけれどそこをクビになって行き場がなくなった子 4) ひとりでカトマンズに遊びに来て、そのままお金を使い果たして帰れなくなり、そのままストリートで生活している子 5) 両親が死んでしまい、ストリートのほかに行き場のない子もいます。 お分かりかと思いますが、みんな貧しい家の子供で、彼らの親も教育を受けたこともなく、生活は苦しくとても子供を育てていく力や能力がないことが多いです。 ストリートチルドレンでない子供も、生活のために小さいときから働いていることがよくあります。 昨年会った子供たちに今年も会ったのですが、 なかにはストリートの生活から脱出できた子供も何人かいます。 例えば、 暴力を振るう父親と離婚してほかの男性と再婚した母親に引き取られて、そこで幸せに暮らすようになった子や仲間からいじめられたときにちょうどある人からバス代をもらって田舎の家に帰ることができ、今は学校にも通っている子。自分でタクシーの洗車の仕事をはじめ、自分もタクシー運転手目指してがんばっている子供など。 そんな子供は以前よりずっと生き生きとしています。 毎日、生きることに精一杯だったのが、気持ちに余裕が出来て表情がすごくおだやかになっていたり、いつも汚い格好をしていたのが体を清潔に洗うようになったり、身長も年相応に伸びたり、普通の子供らしい子供に変わっていて驚きます。 しかし多くの子供は昨年と同じように路上で生活していました。 ゴミが散乱した橋の下にグループを作って暮らしていたり、 空き地のすみっこに段ボールで家を作っていたり、 昼間は公衆トイレで生活して、夜は近くの商店の軒先などで眠る子など・・・。 それで朝早くに(5〜6時くらい)起きて、ゴミの回収車が来る前にゴミの中からお金になるものを探します。集めるのはビニール袋やプラスティックのゴミで、それをリサイクル用のプラスティックを買い取ってくれる場所へ持っていきます。 1日集めて大体50〜120ルピー(83〜200円)くらいになります。 食事が安いところで1食33〜66円程度。なかには13円というところもありましたが、おかわりをするともっと高くなります。 彼らはプラスティックを集めればお金ももらえるし、食事も出来るのですが、それはすごくいやな仕事なので、1週間に1〜2回くらいしか集めない子もいます。そんな子はロクに食事もしないで毎週土曜日にあるボランティアの炊き出しを楽しみにしていたりします。 また、プラスティックをゴミの中から探すときに、子供たちはしょっちゅうガラスで手や足を切ってケガをします。裸足でゴミのなかを歩いたりするので、足を深く切った子供を病院へ連れて行ったこともあります。僕も彼らに会うと、いつもそんなケガが膿まないように消毒をしていました。 プラスティックを集める子供たちは「カテ」という差別用語で呼ばれ、一般の人からは白い目で見られることが多いです。 一般の人が彼らを白い目で見る理由のひとつは、彼らがよくスリや盗みをするからです。服なんかも、洗濯して干してあるのをこっそり盗んで着ていたりします。 僕も彼らに財布を盗られないように注意するよう、いつも言われていました。 しかし彼らが僕の財布を盗ろうとしたことは一度もありません。逆に僕が写真を撮っているときなど、財布や鞄を見張っていてくれたくらいです。 朝ご飯のあとは、10時くらいから子供たちはすることもなく、みんなで遊んでいます。 輪ゴムを束ねてボール代わりにして輪になって蹴って遊んだり、プロレスごっこみたいなことをしたり、トランプをしたり・・・、思い思いのことをして過ごしています。 そんなときはとても無邪気で見ていても楽しいのですが、彼らの大きな問題ですが、そのうち麻薬を吸い始めることがよくあります。 麻薬は安いものだと20円くらいで手に入り、それで空腹や冬の夜の寒さ、子供だけで暮らす寂しさが忘れられるので、食事をしないで麻薬を買う子もいます。 最近は接着剤をビニール袋に入れて、それを吸い、意識もうろうとしている子供が増えてきました。中毒になってしまった子供は、もう自分では止めることも出来なくなってきます。そんな子供の姿を見るのはとてもつらいです。 NGOが子供に接着剤を売らないようにお店に頼んだりするのですが、それもなかなか成功していません。 夜になると冬はたき火をして暖を取ります。吹きっさらしの橋の下や空き地はとても寒く、子供たちは体を寄せて寒さをしのぎ、地面に薄い毛布を敷いて眠りにつきます。野良犬を抱っこして眠ったりもします。 そんな生活が毎日続いていくんです。 僕が会ったのは7〜18歳くらい、 なかでもちょうど中学生くらいの子供が一番多いです。 でも、そんな子も小学生くらいにしか見えません。 背も低く成長は良くないです。教育もほとんど受けていないし、早くから盗みや暴力、麻薬をおぼえ、将来は明るくありません。 でも、その生命力は日本の子供たちとは比較にならないくらい強く、厳しい環境のなかでも生き抜いていく力が感じられました。 彼らにとって1日を生きていくことは、それ自体で大変な挑戦です。 |