【画像形式は色々あります】
更新日 1997年3月26日
Windows で扱うことができる画像には、静止画と動画の区別がありますが、静止画には非常にたくさんの保存形式があって、大別するとさらに2次元(2D)、3次元(3D)の区別とか、ビットマップ形式とかドロー形式の区別もあります。動画のファイル形式はまだあまり多くはありません。主なファイル形式で分類してみましょう。
● 静止画(動かないし音も出ないけど大きさは自由)
- ビットマップ形式
- BMP Windows 、OS/2 ビットマップ
- GIF CompuServe
- JPG JPEG圧縮
- PCD コダック Photo CD
- TIF Tagged Image File Format
- ドロー形式
- WMF Windows メタファイル
- CDR Corel Draw ドローイング
- DRW Micrografix Draw
● 動画(テレビのように動くし音も出る)
- AVI WIndows 標準
- MOV Quick Time Movie
- MPG MPEG圧縮
- RAM Real Media Player
これらは全て Windows で扱うことができますが、Windows を購入(標準の構成)した状態で、全てサポートされている訳ではありません。殆どはそれぞれの画像に応じて、必要なプログラムを組み込まなければ見ることができません。
静止画を分類すると、2次元(2D)と3次元(3D)に分類できますが、ここではそのような分類には触れず、ビットマップ形式とドロー形式の違いについて説明します。まず最初にビットマップ形式ですが、一言で表現すると[色の付いた点が集まってできた画像]と言えます。カラー写真のネガフィルムをどんどん拡大していくと、粒子が荒れて、写真が点の集まりであることが分かりますが、ビットマット形式の画像は、それをデジタル情報に置き変えたものと言えます。どのようにデジタル情報にするかによって、ファイル形式が色々とあると考えればいいでしょう。
印刷物も、倍率の高い虫眼鏡でよく見ると、やはり色の付いた点が集まっていることが分かりますし、テレビの映像も同じことです。また、一昔前のワープロで印刷した場合、文字をどんどん拡大するとギザギザ(シャギーと呼びます)になってしまいましたが、これは文字のデザインが、ビットマップ形式で設計されていたからです。例えば、「山」いとう文字を見てみましょう。
左は5×4ドット(点)の升目に●を並べて「山」を形作っていますが、このような書体デザインをビットマップフォントと呼びます。これを4倍角にすると右のようになりますが、●が大きくなっただけで、デザインそのものに変化はありませんから、一層ガタガタが目立ちます。つまり、ビットマップの画像は拡大には向かないのです。どんどん粒子が荒れてしまいますね。縮小する分にはさほど気になりませんが、縮小率によっては形が崩れる場合もあります。
Windows に標準で備わっているペイントは、このようなビットマップ形式の画像を書く道具で、次項のドロー形式の画像を書く道具は、残念ながら含まれていません。但し、Windows プレインストールモデルで、Wordや一太郎が含まれている場合には、これらのワープロソフトでドロー形式の画像を書くことができます。
ドロー形式の画像を一言で表現すると、[線分で書かれた画像]と言えます。線分と言っても実際には、その線分の重なりによって生じた閉鎖領域を、色々な色のパターンで塗りつぶすこともあるので、[線と色の塗りつぶしで書かれた画像]とも言えます。最近のワープロ専用機や、Windows が備えいてる True Type フォントは、拡大してもガタガタになりませんが、これらは全てドロー形式の画像としてデザインされているからです。同じく「山」を例にデザインの方法を見てみましょう。
X方向とY方向の座標系を用意し、最大値をなるべく大きな値にします。例えばXY共に1万だとしましょう。そして、「山」の輪郭のある一点を起点として一筆書きの要領で書きます。この時の筆の進む方向や距離の情報を蓄積します。座標の最大値は非常に大きな値なので、なるべく精密な値を記録しておきます。
すると、蓄積した情報を元に文字を再現することができるのですが、倍率を変えたい場合には、方向は変えないで、距離を比率で計算して短くしたり長くしたりするだけで、大小自由な大きさにすることができます。このような情報で設計された書体を、ベクトルフォントとかアウトラインフォントと呼びます。
ドロー形式の画像は、これと全く同じ仕組みで画像を書くので、拡大縮小が自由です。つまり、一つ書き上げれば、名刺に印刷しても、ハガキに印刷しても、もっと大きなA4用紙に印刷しても、ガタガタになることはありません。会社のロゴマークなどは、ドロー形式で作成しておくことで、いかなるサイズにも対応できて汎用性がある訳ですね。
コンピュータで製図を書くことをCAD(キャドと呼びます)と言いますが、これなどはドロー形式の代表と言ってもいいでしょう。画面上でも印刷でも自由に拡大縮小できるにも関わらず、決してガタガタになることはありませんね。ガタガタになったら製図とは言えませんから。
ビットマップ形式の画像は拡大縮小に向かないと言いましたが、最近のカラープリンタは写真を印刷してもあまりガタガタを感じさせません。それも、大きく出力しても小さく出力しても、かなり綺麗に印刷するようになっています。勿論、原画そのものが小さければ話は別です。それでも、ビットマップ形式の画像を大小綺麗に印刷する技術は大したものです。何気なく使っている一般のユーザーは、プリンタの内部でどれほど高度な画像処理が行われているのか、あまり考えることもありませんが、実は大変な作業が行われているんですよ。