【起動に待たされるのはなぜだろう】

更新日 1997年3月28日


コンピュータは、大まかに次のような役割分担された機器で構成されています。

  1. 中央演算処理装置
    CPU(DX2、DX4、Pentium、Pentium Pro など)
     
  2. 主記憶装置
    本体メモリー(32MB以上あると Windows95 はほぼ快適に動作)
     
  3. 補助記憶装置
    ハードディスク、CD−ROM、フロッピーディスクなど
     
  4. 入力装置
    キーボード、マウス、イメージスキャナなど
     
  5. 出力装置
    カラーモニター、プリンタなど

【補足】

コンピュータの能力は、CPUの処理速度で判断されることが多いのですが、実際の体感速度にもっとも影響を与えているのは、補助記憶装置のハードディスクです。CPUの処理速度は、通常1秒間に何回計算できるかで競われますが、パソコンの場合にその性能をフルに発揮しているのは、稼働時間の割合から見ても、そのほんの数パーセントに過ぎません。(勿論、使い方にもよりますが・・・)
 

コンピュータはOSがなければ、オペレーターが操作できません。OSは縁の下の力持ちとして常時動いているプログラムです。そして、プログラムは主記憶装置になければ動作しません。また、OS(Windows 95など)はとてつもなく巨大化してしまいました。これも皆、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)になったためです。その代わりとっても綺麗な画面で、簡単な操作でコンピュータを操れるようになりました。

電源をONにすると、まず主記憶装置にOSを常駐させなければなりません。巨大なOSは、電源をOFFにしても消えない記憶装置である補助記憶装置にあります。通常OSは、補助記憶装置の中でも非常に高速な読み書きが可能な、ハードディスクに記憶させてありますが、その読み書きの速度は主記憶装置のそれとは比較にならない遅いものです。そのような記憶装置から巨大なOSを読み込む間、待たされるのです。(厳密にはそれ以前にコンピュータの自己診断機能が働いていますが・・・)

OSは、読み込まれながらも同時に実行されていて、機器構成をチェックしたり、画面を綺麗に書いたりして、オペレーターが操作可能な状態を構築していきます。その一連の実行が完了するまでの間、結構待たされる訳ですね。
 

Windows 95 の場合、主記憶装置(本体メモリー)は16MB以上が望ましく、できれば32MB搭載して使うと快適です。というのも、16MB程度だとどうしてもメモリースワップが頻繁に起こる可能性が高いからです。このメモリースワップについて、概略を簡単に説明します。

Windows 95 は、高度なメモリー管理で、複数のプログラムを同時に動作できるよう設計されています。例えば、8MB搭載のマシンでの例を示してみます。

OSだけで既に4MBを使っていたとすると、残りは4MB余っています。ここで3MBのワープロソフトを起動したとすると残りは1MBです。さて、さらに3MBの表計算ソフトを同時に起動することはできるのでしょうか。実は起動することができます。単純計算で2MB不足していますが、Windows 95 は、ちゃんと表計算ソフトも実行してくれます。それはメモリースワップするからで、たとえ同時に複数のプログラムを動かしていても、常に最前列でアクティブになっているプログラムは一つしかありません。それ以外のプログラムを非アクティブなプログラムと呼びます。

動作するプログラムの優先順位としては、アクティブなプログラムが最上位で、なるべくアクティブなプログラムを本体メモリー上に維持し、非アクティブなプログラムは、はみ出し分を補助記憶装置に一時的に追い出してしまいます。プログラムは本体メモリー上にないと動作しませんから、今どうしても必要なプログラム部分(たとえ一部であっても)を本体メモリー上に残し、そうでない部分を一時的に補助記憶装置(ハードディスクと考えてよい)に書いておいて、本体メモリー上から削除します。必要になったら持ってきて、別の部分を追い出します。このような処理の繰り返しをメモリースワップと呼びます。

補助記憶装置のハードディスクの読み書き速度は、本体メモリーのそれと比べ圧倒的に遅いですから、メモリースワップが起こるとどうしても動作が遅くなるのです。先ほどの例のように本体メモリーが少ないと、どうしてもメモリースワップが起こりやすく、たくさんあればなかなか起こらないのです。Windows の操作に慣れるに従って、複数のプログラムを同時に起動しておいて、アクティブ・非アクティブを自在に切り替えて使うようになるものです。16MBから32MBにメモリーを増設するだけで、見違えるように生き生きと動いてくれますよ。一度お試し下さい。