雲とシュプール

黒岳のおいたち


 カムイミンタラという言葉を知っていますか。昔アイヌの人々は、中央火口を中心として美ヶ原や雲の平、北海平等を取り囲む山々の高地をカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)と呼び神聖な場所として崇めてきたのです。 この神々の庭を見るのに一番早く楽に行ける場所、それが黒岳です。この黒岳はどのようにしてできたのでしょう。 黒岳は、中央火口を取り巻いている山々の中では一番外側に位置し、赤岳、凌雲岳、北鎮岳、などとともに、第4紀更新世(200〜15万年前)ころの古大雪溶岩で構成されています。 一峰一峰が独立した山のように見られますが、岩質はいずれも非常に粗粒な角閃石しそ輝石安山岩よりできています。このことから、黒岳は、古中央火口を取り巻く外輪山の一部であり、内側の凹地は一種のカルデラと考えることができます。それが周氷河期を経た長い間の浸食作用により一つ一つの山が独立したドームのような形となったのです。 黒岳もその一つなのです。しかし、古大雪溶岩は一度に形成されたものではありません。 よく調べてみると少しずつ違うところがあるのですが、現在の大雪山の基礎になっていることに変わりはありません。                   (志賀 義彦)



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