空と文字(MOUNTAIN)

けもの道


エゾシカなどがよく通る所は、ふみ固められ道のようになっていることがあります。ほとんどの地域で狩猟のできる我が国では、エゾシカにとっての安住の地は無いようなもので、古くからのけもの道ができにくいのが現状です。 多くの場合、動物達も歩き易い登山道や林道、川沿いなどを選んでいるように思われます。川を凍る時には、倒木の上を渡ったり川の中の岩づたいに移動したりすることも多くよく利用される場所は、コケが取れていたりします。 また、キツネの巣の前などは何度も通るため、ふみ固められた道となっている所があります。エゾモモンガも同じ場所から滑空して、同じ所に止まることが多く、鳥なども好んで通るコースが決まっているようです。ヤチネズミなどは草の下に通路のような所もあるのですが、小動物は足跡を残すことも少なく、残された痕跡も小さなものです。 動物達は夜(日没と日の出前後)活動するものが多く、人の利用しない時間には、登山道や林道もけもの道になるのです。

雪の多い冬、シカは川の中をあるくことが多いものです。深い雪の中よりも、冷たい川の中を歩くほうがましなのかもれません。体重の重いシカは、深い雪の中を速く歩くことができませんが、川の中なら速く走って逃げることができるのです。森を移動する時も、先頭のシカが歩いた後から一列になって続きます。大雪の時には、雪の上に頭と背中だけをだして、もがくようにして進むシカを見ることもあります。大雪の時は、たいていの動物も外出するのをひかえ、雪が締まって歩きやすくなるのを待っています。 野や森で、かすかなふみ跡に気付いたら、よく観察してみましょう。人がたまに通る道かもしれませんが、シカやキツネのけもの道かも知れません。かすかな、足跡やフンや毛が見つかるかもしれません。ヒグマの通り道ということもあります。                                                         (塩谷 秀和)



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