空と文字(MOUNTAIN)

フイードサイン

フィールドサインT 足跡
人類の歴史から見ると、つい最近まで男達は動物の足跡を読み、狩りをしてきました。今は動物を知るために足跡を読み、推理し、そこから多くのことを学ぶ時代でしょう。冬の野山は動物たちの足跡でいっぱいです。一つの足跡をずっと追ってみるといろいろなことがわかりおもしろいものです。 テンやイタチ、オコジョなどは、足跡の大きさは達ますが、同じようなパターンで歩きます。キツネとイヌの足跡は似ており、タヌキとネコの足跡もまぎらわしいものです。同の物の足跡でもゆっくり歩く・速く歩く・ゆっくり走る・速く走るなどで足跡も変わります。また、雪の深さなどによっても変わることがあり、時には、トラバサミで足を失った3本足のキツネがいたりもします。長い冬の間、動物達の足跡を読むアニマル・トラッキングは、ナチュラリストの大きな楽しみといえます。また、夏場にも、川原の砂の上や湿地のドロの上などに残された足跡を見ることができます。 
   
フィールドサインTT食痕他
 野山を注意深く歩いていると、よくクルミのカラが落ちています。これらのうち、二つに割れているのはエゾリスの食べた跡、両側に穴があいているのはアカネズミの食べた跡です。 冬から早春にかけては、食痕やフンなども見付けやすく、雑木林では数多くのフィールドサインをみつけることができます。積雪期に低木の枝を引きちぎったり、人の高さまで樹皮を食べているのはエゾシカで、近くに十数mmの黒っぽいフンも落ちているはずです。 ヤブの中などでは、細い低木や技をカマで功り取ったような鈍い切り跡が見られ、近くに径十数mmのオガクズを固めたようなフンもあるはずです。これらはエゾユキウサギの一仕業です。 また融けた雪の下から表れる樹の幹や枝がよく樹皮を食べられていますが、エゾヤチネズミが雪の下にトンネルを作って食べた跡なのです。
        
エゾモモンガのフンは、ヤチネズミやエゾリスのフンと似ていますが、近くの樹の下に数cmにかみきられたトドマツの小枝や冬芽を食べられた広葉樹の小枝が何本も落ちているので区別できます。 雪が消えて、緑の季節がやってくると、森の中でフキが何者かに食べられています。シカでしょうか、それともヒグマでしょうか、近くをよく調べるとかすかな足跡やフンが見つかるかもしれません。近くの幹や枝に毛が着いていることもあります。 登山道などで石の上によくみられる細くねじれたフンは、オコジョらしいのですが、イタチの仲間は同じようなフンをするのでよく見分けられないものです。キツネのフンは季節にもよりますが、ネズミの毛が入っていることが多いようです。
                            (塩谷 秀和)

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