空と文字(FIELD)

準備は早く 冬芽の話




 夏も過ぎ秋口に入る頃になると何となく葉が色付き始めますが、そんな葉の根元を注意
してみると来年の芽である冬芽がもうついていることに気づくでしょう。
 冬芽は植物の枝先にある成長点が休眠状態で越冬しているもので、冬芽の形や付き方、
冬芽の付いている一年生枝上の葉痕や皮目の形などで樹木の名前を知ることができます。
また、冬芽には葉になる葉芽と花になる花芽とがあり、花芽は丸くて大きい形をしている
ものが多いので、秋のうちに来春に咲く花の状態を知ることもできます。
 冬芽は、ふつう芽鱗と呼ばれる魚のうろこ状のものに包まれていて、冬の寒さや乾燥か
ら守られています。また、芽鱗の数や形も木の種類で決まっています。ミズナラの冬芽は
30枚前後の芽鱗があり、まさにうろこ状の形をしています。キタコプシやヤナギの仲間の
冬芽はビロード状の毛を持つ芽鱗に被われ、いかにも暖かそうな姿をしています。オオカ
メノキやオニグルミの冬芽は裸芽といって芽鱗がなく、密な毛に被われているものの芽が
むき出しの状態となっています。カエデ類やカツラの冬芽は、二列に対生して並んだ独特
の形をしています。
 このような冬芽の観察を冬の野外においてするのも楽しいものですから、冬でもどんど
ん野外に出るようにしましょう。                   (青木 満)

 



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