空と文字(MOUNTAIN)

ナキウサギ



ウサギ目 ナキウサギ科 ナキウサギ属 工ゾナキウサギ
日本では、北海道だけに生息するナキウサギは、アジアを中心に北アメリカにも広く分布しています。日本で発見されたのは昭和に入ってからのことです。ナキウサギは氷河の後退に伴い、取り残された動物と考えられ、道内では200mの低地から、2,000mの高山にまで生息し、大雪山の岩場ではよくその姿を見かけます。 多くの場合、その存在を鳴き声で知ることができます。ピチッともピイッとも聞こえる鳴き声は、小鳥の声と似ており、野鳥の専門家も首をかしげることがあるそうです。高山の岩場では姿も見ることも容易ですが、低地のヤブの中では、声はすれども姿は見えずで、冬越しのため岩の下にため込んだ干し草や岩の下にまとめてしてあるフンなどからその存在を確認することができます。 夏から秋にかけてのナキウサギは大忙がしで、草をくわえて走り回る姿をよく見かけるようになります。冬の間の食料をいくつかの場所に、干し草として大量にたくわえなければならないからです。ナキウサギの刈り取った草のあとが目につくのもこの頃です。ナキウサギは体長13cmほど、体重も100g位と小さく耳も丸いので、尾のないネズミのょうです。半径十数mほどのテリトリーは、岩の下で迷路のようにつながっており、貯蔵庫やトイレ・鳴き場所などがあります。 繁殖期は夏を中心に2回はあるといわれており、一度に3頭前後出産し、6週間はどで成長するといわれています。 寿命は2・3年で、ウサギと同様に盲腸糞と呼ばれる細長いフンをもう一度食べることが知られており、これを擬反すうといいます〈フンの中には欠かすことのできないビタミンが含まれているのです〈 高山帯ではコケモモやイワツツジなどの高山植物を食べています
が、低地ではイタドリなど、たいていの草や木の葉を食べており、フンは3・4mmの丸いのがかたまっています。 (塩谷 秀和)


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