草模様

渓流のダイバー カワガラス



水中を泳ぐ鳥はいるでしょうか? そう、ペンギンがいますね。では、水中を歩く鳥はいるでしょうか? 実は、皆さんの目の前の川に住んでいるのです。渓流釣りをなさる方なら川面をビッ、ビッと泣きながら一直線に飛んでいく黒っぽい小鳥をご覧になったことがあるかと思います。その鳥が、水中を歩くことができるカワガラスなのです。カラスという名前のとおり黒褐色をしたムクドリ大の鳥ですが、カラスの仲間ではありません。 この鳥は、全国の山地の急な川の近くに住み、浅い水の中を歩いたり、水の中に潜って水底を歩いて、水生昆虫や小魚を括ってくらしています。水中に潜っている時は、その羽毛についた気泡が光り、全身が銀色に見える程です。また、この鳥の繁殖期の訪れは早くまだ、雪のどっさりある三月から巣造りにかかるつがいもいます。巣は渓流の岸辺の岩のくぼみや滝の裏など水しぶきがかかる所に大量のコケを材料に大型で球形のものを作ります。水しぶきのかかるような所に巣を作るのは、多分、このコケで作った巣が乾燥して壊れるのを防ぐためかも知れません。
 まだ雪深い北国の三月、この鳥のビッ、ビッ、チーチ【ジョイジョイと力強いさえずりを聞くと春の訪れも近いのを知ることができるのです。         (磯 清志)


トップ アイコン
トップ


草模様