草模様

追いつめられた森の住人 クマゲラ



クマゲラは、全長45cmもある日本最大のキツツキです。北海道と東北地方の一部の原生林を中心に住み、めったにお目にかかれず、天然記念物に指定されています。 ここ大雪山国立公園では、山麓から山岳部の中腹にかけての主に針広混交林に生息しています。今では、幻の鳥とまで言われるクマゲラも昔はもっと普通の鳥だったのです。北海道では、平地でも普通に見られました。昔、アイヌの人たちは、冬にクマゲラが.採餌のために巨木に縦長の大穴を開けるのを見て丸木舟を作ることを思いついたそうです。そのため、クマゲラをチプタチカップカムイ(舟を彫る神)と呼んでいました。そんな名前がつくぐらい、クマゲラは人に近い存在だったのです。 また、本州でも江戸時代には、日光のあたりにもいたという記録が残っています。ところが、原生林が伐採されるにしたがい、本州では、北へ、北海道では、人間の利用しにくい標高の高い地域へ追いやられていったのです。
 いつの日にか本当にクマゲラが「幻の鳥」になってしまうかも知れません。
 
英語の諺に、Today birds,tomorrow men.というのがあるそうです。今日の鳥の姿
は明日の人間の姿を現わしているという意味だと思います。今、私たちはこの諺の意味を
ょく考えてみる時期にきているのではないでしょうか。
 
      
 (磯 清志)


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