草模様

森林の棲み分け



森林に棲む鳥たちが、同じ場所の同じ種類の餌だけを捕るとしたらどうでしょう。あっという間に食べ尽くされ、鳥たちは餌不足に悩むことになるでしょう。しかし、実際にはそんなことはないのです。それぞれの種が採餌場所や餌内容を少しずつ違えることで解決しているのです。同様なことが、営巣場所やソングポスト(歌い場)等でもいえます。これを棲み分けと呼んでいます。 鳥たちは、森林の林内と林縁、平坦地と斜面といった水平的な場所を違えて棲み分けている他、同じ場所でも枝葉、幹、上中下層など様々な微細構造を使い分けています。 ここ大雪山の森林ではウグイスが林縁を中心に棲み、コマドリは、針葉樹林の谷斜面に棲んでいます。また、同じ針葉樹林に棲むキクイタダキ、コガラ、キバシリは、それぞれ樹冠の外側、幹よりの内部、樹幹といった具合に立木の微細な構造を使い分けています。 ですから、高木から低木まで高さの異なる様々な種類の木々の生える複雑な構造の森林ほど、鳥たちの利用できる空間や餌も豊富で、多くの種類が棲むことができるわけです。
                               (磯 清志)


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