草模様

大空の住み分け イワツバメとアマツバメ



ロープウェイの駅舎などでジュッ、ジュッと濁った声で鳴きながら群飛ぶツバメのような鳥がいます。実はこの鳥、ツバメではなくてイワツバメといいます。ツバメの尾は燕尾と言われるように細長く尖っているのですが、イワツバメは尾が短く、腰の部分が白いのでツバメと簡単に区別できます。 また、晴れた日に空高く、まるで鎌のように見える翼を広げて飛ぶ大きなツバメに似た鳥を見ることができますが、この鳥はアマツバメと言います。アマツバメは名前も飛ぶ姿もツバメと似ていますが、ツバメの仲間とは全く違います。 全く違う仲間なのになぜ似ているのでしょう。どちらも空中での生活に適応するために姿や習性が似てきたのです。さて、姿も習性も似ていると言いましたが、飛び方を見るとちょっと違うのです。イワツバメは地上からあまり高くない所を急旋回しながら飛び回りますが、アマツバメは高空を猛スピードで駆け抜けていきます。どうしてこのように飛び方が違うのでしょうか? イワツバメは地表近くを飛ぶ比較的大きな虫を追いかけて取るので急旋回や急停止、急発進のような機敏性が必要となります。一方、アマツバメは高空に風や上昇気流で吹き上げられたわずかな小昆虫を大口を開け、吸い込んでいるのです。ですから、猛スピードで広い面積を捜し回る必要があるのです。このように一見似た姿や習性でありながらツバメとアマツバメは空の領域や植物を巧みに分けあっているのです。 
                               (磯 清志)


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