大雪山の固有植物
生物学で言う固有とは、ある生物の分布が特定の地域に限定されている現象を言います。
大雪山の固有高等植物とされるのは亜種変種を含めて7科11種知られています。ミヤマヤチヤナギ、オオミヤマヤチヤナギ、エゾマメヤナギ、エゾイワツメクサ、ダイセットリカブト、ダイセットウウチソウ、エゾオヤマノエンドウ、ジンヨウキスミレ、ホソバウルップソウ、クモイリンドウ、エゾハハコヨモギです。これらの固有植物の分布には氷河期が大きく関与しています。
地球最後の氷河期(ウルム氷河期約2万年前)が少しづつ後退して暖かくなるに従って、氷河期を生きてきた植物たちは自分たちの成育環境に適した場所を求めて移動しました。あるものは北にさり、あるものは寒さの厳しい高山へと移動して現在まで生きのびているのです。
北海道には54種の固有種が知られ、又大雪山の高山植物は209種(波辺)あるとされています。これらは植物要素からみてA周桓要素「チョウノスケソウ」B欧亜要素「キバナシオガマ」C東北アジア要素「チシマクモマグサ」D北アジア太平洋要素「ミヤマホソコウガイゼキショウ」E北太平洋要素「ジムカデ」Fアジア北米要素「ヨコヤマリンドウ」
G北米要素「ムセンスゲ」(以上伊藤)などに分けられています。
大雪山の固有植物、高山植物もその素性をたどるといろいろに分けられるのです。
(成田 新太郎)
注目すべき高山植物要素
大雪山は高山植物の宝庫と言われておりますが、植物地理学的に見て注目すべき高山植
物要素は、次のものがあります。
周極要素 クサスギナ、オクヤマワラビ、チシマミズニラ、カンチヤチハ
コベ、、タテヤマキンパイ、チョウノスケソウ、チシマミクリ、
タカネヤガミスゲ、ヒゲハリスゲ
欧亜要素 エゾノチチコグサ、エゾワタスゲ、タカネイ、オクヤマスミレ、
キバナシオガマ、タカネシオガマ、クモマスズメノヒエ
東北アジア要素 シコタンハコベ、チシマクモマグサ、リシリオウギ、ヒメアゼ
スゲ、エゾイトイ、ホソバウルップソウ
北アジア太平洋要素−チシマイワブキ、ミヤマホソコウガイセキショウ
北太平洋要素 ジムカデ、クモマタンポポ、クロエリ
アジアー北米要素−エゾミヤマツメクサ、ヨコヤマリンドウ、エゾノハハコヨモギ、
クモイリンドウ
北米要素 ユキワリガヤ、ムセンスゲ
日本要素としての高山植物 日本要素とは日本及び樺太、千島等分布が限られたものを
言います。 (伊藤浩司著 北海道の高山植物より)
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