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水面でも陸地でもない−湿原



水面でも陸地でもない 湿原

 

枯れた植物はふつう分解されて土となっていきます。しかし、水分が多く寒冷な条件のところでは、植物の週休が完全に分解されず、なかば炭化して泥炭に変わってしまいます。湿原はこのようにして形成された泥炭が積み重なってできたもので、泥炭の厚さが厚くなるにつれて、低層湿原、中間湿原、高層湿原へと発達していきます。 では、泥炭はどんな特徴を持っているのでしょうか。植物の遺体などの有機物が不完全に分解されると腐植酸ができるため、泥炭の酸性が強くなります。このため泥炭の中では微生物の活動がおさえられ、分解も進まず、ますます泥炭の堆積が進みます。また、分解されて土にかえるはずの養分も泥炭層の中にとじ込められてしまいやせ地となっています。 泥炭層の発達した湿原は、まるでスポンジのように柔らかく、ふわふわとしており、その中に大量の水を含んでいます。この状態は、完全な土ではない、植物が炭化した状態の泥炭と水とが混じりあった状態と言えるでしょう。見方を変えると、湿原は、水面でも地面でもない両者の中間をなす地球上の第三の表面とも言えるようです。 (青木 満)




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