空と文字(FIELD)

木に残された雪害 樹木と雪



木に残された雪害 樹木と雪

 

雪は植物にいろいろな雪害を及ぼすとともに、一方では保温材としても機能し、寒さから植物を保護しています。この雪害を、根曲がりや荀匐形の樹冠や樹枝が持つ弾力性で受け流し、雪の保温材としての機能を最大限に活用しているのが、チシマザサ、ハイマツ、ハイイヌツゲ、エゾユズリハ等の常緑低木類と、ミネヤナギやツツジ科の低木類でしょう。 一方、沈降や移動による雪圧や寒風の被害を受けやすい高木類には、梢折れ、幹の屈曲や湾曲、垂下枝、根曲がり、荀匐形、偏形樹等の様々な雪害樹形が見られます。 これらの雪害樹形を指標として、無積雪期にも冬の積雪深を知ることができます。代表例が風衝地に生ずる偏形樹を指標とする方法です。積雪の下となる枝は雪に保護されて四方に伸びますが、雪の沈降圧力のため下垂しています。しかし、雪上に出ている枝は、強風と地吹雪によって一部欠損し、偏形樹となっています。特に、雪面近くは風が強く、幹の周囲全体の枝が欠損しています。だから、この下垂枝の上限が積雪探に当たるのです。 もう一つの例として、樹冠に着いている様々なコケ類を指標とする方法を見てみましょう。融雪水を吸込んだコケが気温の低下によって周りの積雪に凍り付き、その後の積雪の沈降とともに剥ぎ取られてしまう.のです。このため樹冠の下部には、あまり大きなコケが着けないのです。このコケが着いていない樹冠の高さを結んだラインがおおよその積雪探なのです。                             (青木 満)



トップ アイコン
トップ


空と文字(FIELD)