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パイオニアと極相林



バイオニアと極相林

 

大雪山一帯を覆う森林は、古い時代から何の変化もない様に見えますが、時とともにその姿を変えているのです。噴火、土砂崩れ、洪水等により生じた裸地には、まず苔や草、低木類が生えてきます。次に、日当りのよいところを好む高木(陽樹)が生えて成長し、やがて陽樹の下には日陰でも成長できる高木(陰樹)が成長して陰樹からなる森林に移り変わるのです。陰樹で構成される森林は同じ種類の高木で世代交代を繰り返すため、外見的には変化のない安定した森林が続く事に成ります。この様な安定状態に達した森林を極相林と呼んでいます。また、この様な一連の植生の移り変わりを植物遷移といいます。一方、植物遷移の途中に現れる草本や陽樹などはパイオニア植物と呼ばれています。
 北海道を代表するエゾマツートドマツ林などの亜高山性針葉樹林や冷温帯性針広混交林などは、いづれも極相林です。パイオニア群落の代表例は、河原に多いヤナギやケヤマハンノキ林と、伐採跡地や山火事跡地に広がるシラカンバ林でしょう。これらの樹木は、極相林の構成樹種とは反対に成長が早く樹令が短いのが特徴です。裸地をいち早く覆い、自らの地位をいずれは極相林に譲ってしまう悲しい運命なのです。
 もちろん、寒冷、乾操、過湿等の自然条件により成立する草原や湿原等にも、極相群落とパイオニア群落が見られます。例えは高山では、高山風衝群落が極相に当り、コマクサやタカネスミレ群落がパイオニアに相当すると考えられます。      (青木 満)



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