黒岳山頂から北東部の層雲峡方向を眺めてみましょう。はるか下方に黒岳沢と層雲峡の温泉街や石狩川が見えます。石狩川に急崖を形成しながら黒岳に相対してそびえている山々、すぐ手前は朝陽山、その後ろはニセイカウシュッペ山、その右に平山、丸山が一種の溶岩台地のような緩い傾斜を形作って見えます。　古く、アイヌの人々は、ニセイカウシュッペを雌岳、黒岳を雄岳と呼び崇め親しんできました。このニセイカウシュッペが姉さん女房ということをご存じですか。　ニセイカウシュッペ溶岩は、第4期洪積世中期（200〜150万年前）のもので、黒岳は、第4期洪積世前期（150〜15万年前）も終わりに近いころ中央火口から噴出した層雲峡熔結凝灰岩からできているのです。また別の見方をすると、層雲峡熔結凝灰岩は石狩川を挟んで向かいの山々へ達し被いかぶさっていることからもこれを証明できます。このようにニセイカウシュッベは古い火山で、今は火口跡を見つけることも困難です。　ニセイカウシュッペ熔岩は、いずれも、しそ輝石安山岩で一般に板状節理の発達した溶岩です。鉄平石とも言い、たたくとキンキンとした金属音がします。