• [種別]建造物
  • [名称]琵琶湖疎水、インクライン
  • [地域]洛東の有名観光コースでは中部。南禅寺の塔頭、南禅院を見上げると見える。
  • [特徴]明治時代、東京への遷都の後に京都の活性化を目指して府知事が行った大型土木事業。琵琶湖から水を引くほか、落差を利用した水力発電も開発。疎水で舟を引けない急斜面は、電車を引いており、南禅院方向に見える水道に上がると、今でも線路を見ることが出来る。
  • [拝観料]無料。
  • [+α]個人的には何度も見るものじゃないように思うが、水道に上ると山の空気を感じられるので、緑が好きな方はどうぞ。

概略

南禅寺本坊に向かう途中の右手に見える大きなローマ建築風の煉瓦造りは、琵琶湖疎水という大土木事業の中でも、特に有名な水道です。1990年代後半、JR西日本「三都物語」のPRに使われました。水路による物資の運搬、日本初の水力発電を行っていたものです。

水道の上に立って歩くことも出来ます。そのまま水に沿って行くと、終点は静かな公園で、昔使われていた台車と舟が野外展示されています。そこからは少し歩いて地下鉄東西線に乗るか、蹴上に出るか。もう少し下って南禅寺参道入り口まで行き、無鄰菴などのある観光コースに戻るか。このあたりまで出ると、琵琶湖疎水記念館もあります。

一日でお寺をたくさん回りたいなら、水道沿いコースの終点から街中に戻るのに少々時間をとるため、このあたりに深入りするかは事前に判断しておくほうが得策です。

歩きながら

いつも思うのは、こういうのを明治に入ってすぐに造ってしまう、京都人の技術力の蓄積と、新しいものを取り入れる気風。背景には東京遷都に対するてこ入れがあったとは言え、おいそれと出来る事業ではないでしょう。市電の誕生も日本初。京都は単に保存するだけの街ではなく、新しいものを入れようとする人々と、伝承する人々とが常に同居して、実は刻一刻と変化する街でもあります。

2001年あたりから町屋をつぶしてマンションにすることが当たり前になってきました。住んでいる方々の利便性を追求することは避けて通れませんが(外部の人間が建物の保存だけを声高に言うのは無責任でもあるが、かといって何をしてもいいわけではないはず)、このあたり、うまく後世のためになる形で変わっていけるといいですね。