概略
仁和寺、大覚寺、曼朱院と並ぶ門跡寺院(皇族が出家すると入寺するところが門跡寺院)。江戸中期に、御所の火災の際に仮御所になったことでも有名。
門跡の優美さは、造りに表れているといえましょう。寝殿造りが建築の中核を成すこと、それに釣り合いのとれる庭園を持つこと、勅使門がある上に造りもすばらしいこと。
青蓮院も同様のすばらしさがあります。知恩院や平安神宮などに挟まれて、見落としがちなところではありますが、もしも知恩院に行く機会があれば、近くにあるので足を伸ばすことをお勧めします。
ここはまた、不動明王(日本三不動の一つで青不動、平安時代の画、国宝)でも有名で、満月に護摩焚きを行っています。
優美さでは随一
ここも、ご本尊は寝殿に安置され、その前にすばらしい庭園が広がっています。楠の老木が運ぶ、夏涼しく、冬爽やかなすばらしい空気も忘れられません。寝殿から奥へ進み、さらに庭を回って戻ってくることが出来ます。この奥の庭、池泉回遊式で相阿弥の作と伝えられています。庭に降りてさらに奥には、小堀遠州の作庭。初夏には霧島つつじが乱れ咲き、周囲に人がいないと花の気にあてられてちょっと怖いくらいです。
仁和寺(洛西の御室)と大覚寺(洛西は嵯峨野の北端)がそれぞれ規模の雄大さを感じさせるのに対して、洛東にある青蓮院と曼朱院は雄大さよりも優美さを感じます。特に青蓮院は、東山から流れてくる凹凸の多い地形を生かして、広さよりも緑が多く眼に入るためか、優美かつ幽玄です。
細かいことですが
ちょっと本筋から離れる話題。G.W.の5月に訪れた際に、ここで川端道喜の粽を食べる機会があったこと。これは印象が深かったです。ほのかな甘さと口に残る香が、お抹茶のあとでも流れずに残り、目前の新緑が身体に取り込まれるような心地に陶然としたことがあります。
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