• [種別]寺院
  • [名称]龍安寺
  • [宗派]臨済宗妙心寺派
  • [地域]衣笠周辺、等持院より西へ進んだあたり。
  • [特徴]室町時代、細川家の建立。石庭が世界的に有名。また、禅の精神を表すといわれるつくばいも有名。
  • [拝観料]2002年、500円。
  • [+α]世界文化遺産登録でさらに有名になった。昼飯時を狙ってみるのがお勧めかも。

概略

世界文化遺産にも登録された、日本の禅宗寺院の庭としてもっとも有名なもの。

室町時代、細川家(細川勝元)の建立。応仁の乱で焼けてから再興されましたが、江戸は寛政年間に再び焼け、塔頭の西源院より方丈を移築したと伝えられます。

有名な庭は、方丈前の枯山水。ちなみに方丈とは、禅宗寺院において住職の暮らす建物で、その正面に庭園を設けています。檀家がやってくると建物正面奥にある檀那の間に通し、庭を見つつ話などすることを想定していたといわれます(方丈は本来、仏間から生活と修行の場まで一体となるように設計される)。

また、庭から方丈の裏に回ると「吾唯足知」と刻まれた有名なつくばい(の複製)も公開されています。

意味だけではわからない庭

境内に入ると、まず鏡容池に迎えられます。広大な池には弁天島もあり、木々が鬱蒼と広がります。この周りを進むと、やっと方丈の受付。

方丈の前に出ると、そこが「虎の子渡し」別名「七五三の庭」と呼ばれる枯山水です。15の石と、白砂、少しの苔と土壁。枯山水の典型として名高く、どの角度から見ても15すべてを岩を見通すことができないといわれています。他にも、大きな岩が5つで京都禅宗五山を意味する、「虎の子渡し」の名のごとく虎が子を連れて川を渡る姿だといった解釈がいわれていますが、禅は言語の束縛を突破した先の世界に関わるはずですから、言葉で意味をごちゃごちゃとらえても仕方ないところでしょう。じゃぁ何も考えなくていいかと言えば、それもまた違う。

裏手にある有名なつくばいは、「吾唯足知」とよく紹介されますが、一見するとわかるように、まん中に「口」の文字をかたどってあり、その四方に漢字の部首が配されるデザイン。口のくぼみに水をたたえるようになっています。禅宗の教えを視覚的に表現したといわれています。ただし「吾、ただ足るを知る」と言っても、単に我慢せよという教えではないでしょう。

こうしてわからないものを抱えたまま、「わかっちゃいるけどやめられない」の世界が我々一般人にはある。そういう一般の観光客がぞろぞろここを見て、口々に思い思いの感想を述べては帰っていく。私はと言えば、そうした言葉の流れを受け流して、せめてここにいる間くらい、それまで思い悩んでいたつまらん問題を忘れようと、ぼーんやり眺めることにしています。言葉を手放すのは非常に難しく実質不可能に近いところがありますが、たまさか空いた時間に庭が急に目に飛び込んでくる時は存外気持ちよく、ここを出てからふと「あれ、あの問題はこうすりゃいいんじゃないか」と思い付いたりすると、忘れてみるのもいいものかもしれん、あの庭を見てても言葉の連なりは出てこないし、それだけでも混雑を覚悟して来てよかったかな、と胸中で呟いたり。

あと、方丈だけでなく、鏡容池の周囲もぜひ回ってみてください。個人的にすごくお勧めかどうかは微妙なところですが、方丈よりこちらが気に入る人も多いようなので。

なお、この池のほとり、西源院は湯豆腐を出しています。

周辺の情報

衣笠周辺のコースとして、金閣寺・等持院からやってくることも多いでしょう。仁和寺を除くと、有名な禅宗寺院をいっぺんに見ることができるコースです。金閣寺からゆっくり回ってくると、ここか仁和寺あたりで昼食をとりたくなりますが、繁華街はないため、昼食の店が限られてくることは頭の片隅に入れておいたほうがいいかもしれません。西源院でとるか、観光客向けのお店を探すことになりますが、むしろ朝食を多めにとって、軽い昼食で済ませられるようにする場合もあります。