• [種別]寺院
  • [名称]妙心寺
  • [宗派]臨済宗妙心寺派総本山
  • [地域]洛西の禅寺コース、ほぼ中央。竜安寺や仁和寺の北。また、北野天満宮から西へ。京福北野線なら、妙心寺前駅から5分ほど。また、JR花園駅より7分ほど。
  • [特徴]鎌倉時代の創建。伽藍が立ち並び、室町・桃山時代〜江戸初期の文化の精髄が見られる。
  • [拝観料]2002年、400円。
  • [+α]巨大、かつ落ち着いた空気。大徳寺と異なり、雄壮さを含んでいる。その中心、仏殿と法堂は何度見ても面白い。不思議だ。

概略

臨済宗妙心寺派の総本山として、つとに有名。白壁に囲まれた大規模な寺院街を構成するのは、大徳寺と同じ。

洛西の散歩コースだと北門から入るが、法堂を中心とした七堂伽藍の壮大さは、実は南門(JR花園駅近く)の方が近くなります。もっとも、石畳と白壁を歩く楽しみもありますので、私は北門から入りますが。

南門から見ると、山門に続いて、仏殿と法堂が大きく見え、その奥に方丈や庫裏があります。また、西側に大きな鐘楼、東側に経蔵、風呂と、いずれも規模が大きいものです。ただ、東福寺の持つような質量ともにばかでかい印象はなく、このあたりは桃山から江戸期の設計でしょう。

拝観は解説付き

拝観は解説が付きます。案内されて廻ることになるので、順番まで方丈のあたりで待ちます。ついでに方丈の枯山水などを見ておくといいでしょう。

案内されて、大伽藍に入ります。ここのハイライトは江戸初期、徳川幕府御用画家として腕を振るった狩野探幽の天井画。天井一面を埋め尽くす巨大な龍の絵を、解説を聞きながら四方それぞれから眺めます。まったく違う表情を呈するそれは、たとえば晴れた日、曇りの日、雨の日などでまた表情が変わり、なぜか見飽きることないもの。絶対に印刷や写真ではわからない、現地で見る良さを全身で経験できます。

白鳳時代の梵鐘(日本最古)、さらに昭和初期まで使っていた蒸し風呂も解説してくれます。特に風呂は興味深いです。最近は杉浦日向子のエッセイや江戸学の解説なども多数出版されて、江戸時代の蒸し風呂の構造なども一般に知られるようになりましたが、寺院で使っていた蒸し風呂など滅多に見ることが出来ません。

ここの解説は丁寧ですし、質疑応答にも応えてくれることが多いので、お薦めです。

狩野探幽の龍の絵は、時代はやや異なりますが、システィナ礼拝堂のミケランジェロを連想させるものがあります。ただし、こちらは複雑な構図もなければ、多数の人物も出現しません。一見単純な龍だけから、驚くほど多彩な「見え方」を引き出すもの。それは、全てのものは一つの原理から生じているという奈良仏教の法相宗から始まって、禅宗にも引き継がれていった仏教的なものの見え方を、江戸期において集大成したと感じられます。探幽は座禅を通してこの構図を引き出したと伝えられていますが、美と真実の不思議な融合としか言い様がありません。

周辺の情報

ここも大徳寺同様、周囲にあまり名所がなく、ぽつんと離れていますが、仏殿・法堂・風呂などの解説を聴いたら、常時公開されている塔頭(退蔵院、大心院、桂春院)も拝観できます。

移動は京福電車もあり、割合楽です。龍安寺や仁和寺、また太秦・嵐山方面などへも行けます。

なお、JR冬の京都などで、特別公開の塔頭が時々ありますので、出かける前のチェックを忘れずに。