概略
洛東地区、銀閣寺の少し南にある、浄土宗のお寺。銀閣寺から哲学の道を少し南下、山寄りにあがったところにあります。
その名の通り、浄土宗開設の法然上人にちなんだお寺。哲学の道からちょっと入ると、こんなに静かになるのかと驚くようなところに建っています。
境内無料、一般への参拝は通常は行なっていません。年に2回、本堂内の文化財の公開を行なうのみです。これには一度行ってみたいのですが、公開の時期にうまくあうように訪れたことがないので、私は未見です。
とても不思議な落ち着きに満ちている
この境内が、まことによいのです。
通常の道路から参道(と呼ぶほどのことはない、ただの坂)を
登ると、山門があります。茅葺きのかわいい、しかし趣深いもの。そして、そこからすっと境内が開けます。
まっすぐに本堂につきあたり、そこから池を見つつ、道なりに参拝の
お堂へ行きつく。これだけです。参拝のところではちょっと腰かけられるようになってはいますが、とにかくこれだけの、非常に小さな空間です。
しかし、山門に登りついて、そこをくぐった瞬間に感じる、
なんともいえない穏やかな静寂は、ここだけのものです。座ると山から鮮烈な香を伴う風が降りてきて、心身が洗われます。放生の池、本堂ぎりぎりまでよせてくる東山の木々が、
しっとりとした時間の流れを築き、じっとしているだけでも豊かさを感じさせてくれます。ここにいると、癒しという流行り言葉がいかに底が浅いかにも思い至るはずです。
このお寺は、様々な社会活動でも有名です。また入ってすぐの蔵で、絵画や彫刻の展覧会も行っていることがありますし、境内を利用しての演奏会も企画されていることがあります。
余談ですが
ここに憧れた人は多いようで、筆頭は谷崎潤一郎で しょうか。お墓をつくりたいために宗旨変えをして遺言も残したそうです。京大の経済学者、川上肇も
ここに永眠しておられます。
昔の寺社廻りでは、自分の憧れる有名人のお墓参りをする人が大勢いました。嵯峨野の二尊院では、阪東妻三郎や高浜虚子のお墓にお参りする人が群れをなしていた頃もありました。最近はこういう人はほとんどなく、とても静かですね。
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