98年・夏の京都旅行

東山


●東山のどこへ行こう?

東山というと、銀閣寺に清水寺を筆頭に、南禅寺やら 知恩院やら円山公園(ここから祇園はすぐ)などを擁する、 京都観光のまさに中心地の一つです。
ただし、この日は最終日。ホテルをチェックアウトして、 荷物だけ預けてから、あまり遅くならない程度に廻らないと いけない。つまり、時間がないので、場所をひどく 絞らないといけなかったのでした。私はなんとしても、 連れが一度も訪れたことのない、法然院へ行きたかった ので、ここを通るコースを考えないといけません。 それに南禅寺にも行きたい。
ただ、法然院は銀閣寺寄りで、南禅寺へ行くには うまくバスの接続をするか、タクシーを使うかで、 正直いって、時間がないときに効率的に回るには 不向きな選択です。できれば法然院からそのまま 歩いて南禅寺まで南下したい、それが無理なら諦めた ほうがいいくらいかも。

結局最終的には

連れは銀閣寺にも行ったことがないから、ここを 訪れてから、哲学の道経由で法然院へ行き、 あとは時間のゆとり次第で決定する

というコースでした。多分今回は、南禅寺はあきらめる ことになりそう。

●銀閣寺と哲学の道

銀閣寺へは京阪三条のバスターミナルから銀閣寺 方面へのバスに乗ります。岡崎周辺を通って 銀閣寺道で降りると、5分程度歩けば到着 します。初めて通る連れは、すごく観光地化された 参道を、暑い暑いといいつつ上っていきます。 梅雨明け直後の京都は確かに、暑かった。
到着した銀閣寺は、京都全体のすき具合に比べると 意外なくらい混雑していました。 やはり「金・銀・清水」ですね。今回は事前の 申し込みもしていないし、国宝参拝の期間でも ないので、単に庭や銀閣の周りを巡って観る だけです。しかし、中に入っても暑く、こんなに 銀閣寺の庭って暑かったっけ?と思って しまいました。
一応順路に沿って斜面を登り、お茶の湧き水を 観て、最近出来た展望できる丘まで登ってから 降りてきます。初めて観た連れは、銀閣の 建物自体にはさほど感銘を受けず、むしろ 国宝の東求堂などのほうに興味を持って いました。これなら、国宝一般参拝の期間中に くればよかったなぁ。

銀閣寺山門脇にあるお菓子屋(ラムネで有名 です)も今日は休みで、 参道にある適当なお店で休憩をとってから (暑かったので、冷たいものがほしかった)、 哲学の道を歩きます。
まぁ、ここは相変わらずですね。夏のとある 暑い1日だと、さほど変化のある景色を楽しめる わけでもなく、淡々と歩きながら、道沿いの お店をぼーっと眺めていきます。

ほどなく法然院へ行くための曲がり角に あたるので、ここを左折していきます。

●法然院

こうして法然院境内近くへ行くと、急に木々が 鬱蒼と茂るせいか、空気がにわかにひんやりして きます。
勾配の急な坂を登って、藁葺きの特徴ある山門に 行きます。これはいつ見ても落ち着く、不思議な 風景ですねぇ。圧迫感がなく、かといって威厳も ないわけではない。というより、人としての尊厳を 大事にする形、とでもいうのかな。佇む形が なんともいい。

この山門をくぐると、寂とした空間が広がります。 銀裟灘(ぎんしゃだん)の模様を見つけた連れが、興奮しています。ここの もつ独特の空気感は、いったいどこからくるのでしょう ね。しんとした、しかし、独特の温かさと冷たさを 同時に備えた、不思議な心地よさ。庭、というほど 凝ったものではないけど、むしろそのへんの作り 込んだ庭よりもよほど美しい。
放生の池を見ながら、ゆったりとお堂のほうへ 回ります。そして、縁側に腰をかけさせていただきます。 ここですでに連れはすっかり感心していました。 何しろこの空気を無料で開放しているのですから。

お賽銭をあげてからしばらく佇んでいると(風が 気持ちよいのだ)、お堂の中で何やら楽器の練習が 始まりました。ここはよく音楽などを通じた催し物を 開いていて、今日も催し物があるので、リハーサルなの です。
そうこうしていると、外人のカップルがやって きて、写真をとっていいのか、とたずねられます。 たぶん外は大丈夫だが、中(御本尊が鎮座する)を とっていいのかはわからないと答えると、少し 困った様子でしたが(どうも彼らも英語のネイティブ スピーカーではないらしく、お互いにもどかしく話していた)、適当にそのへんを 撮り始めました。
私たちは、お堂と反対側の、地蔵菩薩と仏足石を まつってある高台にいってみました。ここでも 軽くお参りしたのですが、さっきの外人が下から 写真を撮ろうとしています。どこうとしたら、そのままで いいから入っていてくれ、ということで、 撮られてあげ(?)ました。

立ち去りがたい余韻を残しつつ、山門を出て、 竹林を見ながら法然院の山を降りました。

●あとは戻って食事など

出発が遅かったせいもあって、この時点ですでに お昼でした。ここでバスに乗って、祇園や四条の 方面へ戻ることにします。
やはり今回は、南禅寺はあきらめました。実は さるすべりの花が美しく咲いているかもしれないし、 たまには小堀遠州の庭でも見たいな、ともちょっと だけ思っていたので残念だけど、まぁこういう 有名スポットはまた訪れる機会もあるでしょう。

食事は祇園のうどん屋でとりました。 そして、イノダコーヒーでお茶などをしてから、 ホテルに預けた荷物を受け取って、帰ることにしました。


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