1  次頁へゆくまへがきへ戻る      *                                                                       浅緑染め懸けたりと見るまでに春の楊は萌えにけるかも  出典は万葉巻十の次の歌か     は色うつくしく芽を出した  薄緑色に糸を染めて木にかけたと見えるまでに 春の柳                                    春の柳はもえにけるかな 家持集                            浅みどり染めかけたりと見るまでに                *                                              我が挿せる柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ  出典は万葉巻十の次の歌か     家の梅も散つてゐるだらうか  私の髪に挿した柳の枝を吹き乱す風 この風であの人の                                   風にや妹が梅の散るらん 家持集                            我がかざす柳の糸を吹きみだる                *                                              打ち霏く春立ちぬらし吾が門の柳のうれに鴬鳴きつ  出典は万葉巻十の次の歌か     庭先の柳の梢で 鴬が鳴いてゐる  萌え出た草木が風になびいて 春がやつて来たらしい                                      柳のうれに鴬の鳴く 家持集                            うちなびき春は来ぬらし我が屋戸の                              無題                           *                                           家持秀歌選