2  次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                                                  を言つてゐると思はれます はつきりした徴候が表はれること すなはち初潮を迎へる事 の一つ 春風の音にし出なばとは 娘が婚期を迎へたといふ  家持の娘と久須麻呂の息子の婚姻を巡つて贈答された歌                           ださい 無理でも その時はどうぞあなたの思ひのままになさつてく 徴候がありましたら しばらく様子を見た上で たとへ今は  春風が音を立てて吹くやうに 私の娘にはつきりとした                                 今ならずとも君がまにまに 四|七九〇                        春風の音にし出なば有り去りて                          藤原朝臣久須麻呂に贈る歌         *                                         幽かに繊細に響く この夕暮れ時であることか  庭先の ささやかな竹の群を吹きわたる風の音が 何と                                 音のかそけきこの夕へかも 十九|四二九一                            我が屋戸のいささ群竹ふく風の                              興に依りて作る歌                                        *                    二 春風