2  次頁へゆくまへがきへ戻る       *                                              天平勝宝二年四月十二日 布勢水海遊覧より帰る時の作  う さあ皆さん 馬をしばらく停めなさい    渋谿の崎をめざして我らがゆくこの浜で 月夜を堪能しませ                                月夜飽きてむ馬しまし停め 十九|四二〇六                          渋谿を指して我が行く此の浜に                還る時に浜の上に月の光を仰ぎ見る歌        *                                             時には月が照つてゐるのであつた  珠洲の海に朝船出をして漕いで来ると 長浜の浦に着いた                                   長浜の浦に月照りにけり 十七|四〇二九                            珠洲の海に朝びらきして漕ぎ来れば                               長浜の湾に泊てて月の光を仰ぎ見て作る歌    珠洲郡より船を発して治郡に還りし時に       *                             数へながら 妻は私を待つてゐることであらう  夜空を渡つてゆく月を眺めては もう幾夜を経たかと指折り                              即ち属目に因りて 聊に此の歌を作れり    右は 此の夕 月の光遅く流れて和風稍く扇ぐ                よみつつ妹はわれ待つらむぞ 十八|四〇七二           ぬばたまの夜渡る月を幾夜経と                  僧清見を饗宴する宴の歌