何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号の一に該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。
特許異議の申立てについての審理及び決定は、三人又は五人の審判官の合議体が行う。
2 審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号の一に該当すると認めるときは、その特許を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。
3 取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかったものとみなす。
4 審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号の一に該当すると認めないときは、その特許を維持すべき旨の決定をしなければならない。
5 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであってはならない。ただし、第113条に規定する期間が経過するまでにした前項第3号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。
3 審判長は、特許異議申立書の副本を特許権者に送付しなければならない。
4 第123条第3項の規定は、特許異議の申立てがあった場合に準用する。
特許異議の申立てについての審理は、書面審理による。ただし、審判長は、特許権者、特許異議申立人若しくは参加人の申立てにより、又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。
3 共有に係る特許権の特許権者の一人について、特許異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。
特許権についての権利を有する者その他特許権に関し利害関係を有する者は、特許異議の申立てについての決定があるまでは、特許権者を補助するため、その審理に参加することができる。
第150条及び第151条の規定は、特許異議の申立てについての審理における証拠調べ及び証拠保全に準用する。この場合において、同条中「読み替える」とあるのは、「、同法第336条中「裁判所ガ証拠調ニ依リテ心証ヲ得ルコト能ハザルトキハ」とあるのは「審判長ハ」と読み替える」と読み替えるものとする。
特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 特許異議の申立てについての審理においては、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない。
同一の特許権に係る二以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。
2 前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。
審判長は、取消決定をしようとするときは、特許権者及び参加人に対し、特許の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 特許権者は、前項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
3 第126条第2項から第4項まで、第127条、第128条、第131条、第132条第3項及び第4項並びに第165条の規定は、前項の場合に準用する。
特許異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもって行い、決定をした審判官がこれに記名し、印を押さなければならない。
2 特許庁長官は、決定があったときは、決定の謄本を特許権者、特許異議申立人、参加人及び特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。