今回は、「さようなら宮崎駿」という特集なわけですが、私から見ると、思わず「ん?」という違和感を感じるテーマです。
というのは、大日本絵画より出版されている模型雑誌のモデルグラフィクスと、その姉妹紙であるアーマーモデリング、スケールアビエーションを毎度毎度買っている立場で見ると、宮崎駿氏は、数ヶ月に1回は必ず顔を出す常連であり、そこであれこれ言いたいことを言いまくる現役の論客であったりします。
もしかしたら、アニメファンという視点で見ると、もののけ姫以来新作も無く、かつ、マニア層からは不評のもののけ姫ですから、ナウシカだのトトロだのカリオストロだのといった傾向の作品は遠く過去のものという印象があるのかもしれません。
しかし、それは、宮崎駿という一人の人物を見る視点としては偏ったものでしょう。
ガンダム等のキャラクターモデルではない模型の世界をきちんとフォローせずして、宮崎駿を語ることなかれ。
というわけで、主に模型の視点からの宮崎駿を語りたいと思います。
基本は、モデルグラフィクスという模型雑誌です。映画紅の豚の原作が掲載されたこともある雑誌で、雑想ノート、妄想ノートなどの宮崎駿作のシリーズが、不定期に掲載されています。
模型雑誌としては、他にホビージャパン誌や、モデルアート誌なども存在します。最大手はおそらくホビージャパン誌でしょう。ホビージャパン誌は非常に分厚く、内容も充実しているように見えますが、ガンダムを始めとするアニメなどのキャラクターモデルが大半を占めます。それにより、やはり、雑誌の性格は子供っぽいと言えるでしょう。ガンダムが非幼児向けアニメと言われたのは遠い昔ですが、結局のところ、ガンダムとゲッターロボだのマジンガーZだのというスーパーロボットが同列で扱われる誌面構成ゆえに、やはり、子供っぽさは否めません。
これに対して、モデルグラフィクスは、その対極に位置すると言えます。ページ数は少なく薄い雑誌ですが、1ページ1ページの見せるための完成度は非常に高く、1枚の写真が、他誌の数ページ分の説得力を持っていたりします。また、雰囲気は、大人っぽいと言えます。確かに、ガンダムを取り上げることも多く、また、ガイガイガーも頻繁に取り上げられるのですが、それを料理し、表現していく方法論が、大人の視点に立脚しているという点で、大人っぽいと言えます。たとえば、ガンダムを表現する場合、ホビージャパン誌ではヒーローロボット的解釈が先行するのに対して、モデルグラフィクス誌ではガンダムセンチネルなどミリタリー的解釈が先行するように思えます。
#さて、以上のことを踏まえて、次頁へ。