もののけパロディ劇場

オータム (autumn@piedey.co.jp)

●もののけ飴

サン  「た、たいへんです」
モロ  「何事です」
サン  「人間達が、我らの飴を作って売り出すそうです」
モロ  「なんと。我らの身体を砕き、飴にするというのか!」
サン  「すぐにタタラ場を襲撃して、やめさせます」

 さっそくタタラ場の飴工場を襲うサンら。

サン  「おかしい。血の臭いがしないぞ」
エボシ 「もののけ姫か。そんなに飴が欲しいならくれてやったものを。そら、もって帰れ。肖像権使用料がわりだ」
サン  「この透明なものは、いったい……???」
エボシ 「森の動物をかたどった飴に決まっておろうが。題してもののけ飴。(ミスター味っ子の口まねで)美味しいよ!」

●もののけ梅

 シシ神の森に1本の梅の木が立っていました。人間達は、よい実が採れるというので、絶対に切らず、大事に大事にしたそうな。さらには、人間達が、その木の種を、あちこちに運び、蒔いたため、子孫も大々的に繁栄したそうな。

梅の木 「すまんのう、森のみんなよ。人間がいてもわしは幸せじゃ」

●もののけ亀

母海亀  「薄汚い人間どもめ。神聖な産卵の儀式をこっそり盗み撮りなどしおって。たたってやる!」

 産卵を終え、タタリ神になった母海亀は、TV局めざし陸地の奥深く突進する!
 だが、悲しいかな、陸上移動能力の低い海亀は、スローペースでしか進めない。
 都心の劣悪な環境の中を苦労して進む母海亀。
 ようやくたどり着いたTV局で見た立て札は。

 「お台場に移転しました。海の近くだよ〜ん」

●もののけ決め

モロ   「サン、今日はおまえに誇りというものを教えます」
サン   「はい!」
モロ   「われらは、いつでも毅然たる態度をとらねばなりません」
サン   「キゼン……って、なんですか?」
モロ   「こうするのです」

 モロ、毅然たるポーズを取る。

サン   「分かりました! 他人と接するときは、そうします」

 やがて、攻めてきたエボシの前に立ちふさがる時が来た。

サン   「天が呼ぶ地が呼ぶ神が呼ぶ。人間倒せとわれを呼ぶ。我こそは、モロ一族のサン。あなたの人生変わるわよ。変身、トゥ!」

 結局、「毅然」と「決め」の区別が付かない精神的に幼いサンであった。

●もののけ久米

サン   「火薬を使う人間には勝てないの?」
モロ   「そんなことはない。情報を集め、人間の裏をかいてやればよいのだ」
サン   「はい! 分かりました」

 さっそく、情報集めに走るサン。

サン   「情報といえば、やはり、テレビよね」

 すぐにサンは、某ニュース番組のファンになってしまった。「きゃー、久米さんって素敵!」

モロ   「人間なんかに黄色い声をあげて。モロ一族の誇りを忘れたのか!」
サン   「あら。久米さんて、私たちと相性がいいんですよ。なにしろ、もののけ久米、って言うぐらいで」
モロ   「言わん言わん」

●もののけ込め

エボシ  「アシタカ。石火矢にも種類がある。これが先込め式。筒の先端から、火薬と弾を入れる。これが元込め式。筒の後ろから火薬と弾を入れる」
アシタカ 「エボシ殿。これは?」
エボシ  「ああ、これは、もののけ込め式の弾だ」
アシタカ 「もののけ込め?」
エボシ  「この丸い大きな弾に、もののけを込めて、投げつけるのだ」
アシタカ 「何が起こるのですか?」
エボシ  「やってみせよう。どれがいいかな、よし、乙事主、君に決めた!」

 ぼわぁ〜ん、と弾の中から出現する乙事主。

乙事主  「オッコトォ〜〜〜ン(ちょっち情けない)」

●もののけ鮫

鮫    「薄汚い人間どもめ。生け簀など作りおって。海の環境を破壊するとは許せん」

 鮫は、タタリ神になって、島に突進する。
 だが、あっさりと島の少年の返り討ちにあって、やられてしまった。

少年   「おじい! ついに生け簀を荒らすホオジロをやっつけたよ!」
おじい  「おお、コナン、よくやたぞ」

●もののけ締め

 苦悶の表情のアシタカ。

アシタカ 「サンよ。そなたは、よく締まる女だ」
サン   「まだ、減らず口を叩く余裕があるか。なら、もっと締めてやろう。これでどうだ」
アシタカ 「うぐぐぐ」
サン   「どうした。天国が見えてきたか? はやくいってしまえ 楽になるぞ」
アシタカ 「ほ、ホントに死にそうだ」
サン   「あ、すまん」

 アシタカの首を締め付けた腕を外すサン。
 サンとやるプロレスごっこは、命がけである。

●もののけ責め

 サンとアシタカが深い仲になって、はや十年以上。
 夫婦も倦怠期である。

ジゴ坊  「アシタカ殿。そういうときは、えすえむにかぎりますぞ」
アシタカ 「えすえむとは、なんだ?」
ジゴ坊  「ごにょごにょ」
アシタカ 「そんなことをして、楽しいのか?」
ジゴ坊  「もちろん、このわしが太鼓判を押しますぞ」

 やがて、えすえむを試すサンとアシタカ。

アシタカ 「しかし道具が何もないぞ」
サン   「道具などいらん。森にあるものでやればいい」

 サンは森の動物達を呼び集める。
 動物達にまとわりつかれ、身体の自由が奪われるアシタカ。

サン   「どうだ、気持ちが良くなったか?」
アシタカ 「さ、さあ?」

●もののけ染め

ゴンザ  「最近、もののけの血を浴びた服が多くて困っています。なにしろ、洗っても落ちないもので」
エボシ  「ふむ。最近、もののけの血を吸った服を買いたがっている者達がいるそうだな」
ゴンザ  「何者でしょう」
エボシ  「さあな。だが買うというのなら好都合。そいつらに安く売り払ってしまえ」
ゴンザ  「はい」

 というわけで、安さにつられて、それを買い込んで森に踏み込む狩人達。

狩人   「これで人間の臭いを消せば大丈夫」

 ところが。服にはもののけの血だけでなく、タタラ場の臭いも、たっぷり染み込んでいたのだった。
 狩人達の運命やいかに!?!?

 今日の教訓: 安物買いの銭失い

●もののけ駄目

 人間たちが生き延びるために、捨てられた幼子のサン。
 それを哀れんだモロの君は、サンを育てることにした。
 ところが……。
 サンは動物アレルギーだったのだ!

サン   「うぇ〜ん。もののけ駄目!」

●もののけ爪

モロ   「サン、おまえには、私たちのような爪はない」
サン   「はい」
モロ   「その分、戦闘力に不安がある」
サン   「そんなこと、言わないで下さい。タタラ場襲撃に連れていって下さい!」
モロ   「しかし……」
サン   「努力します。強くなるように頑張ります」
モロ   「分かった、1週間後に、その成果を見ることにしよう」

 そして、爪で体重を支えながらのマラソン、腕立て伏せ、そして、爪だけ滝に打たせる!
 やがて、約束の日が来た。

モロ   「さあ。成果を見せておくれ」
サン   「うぇ〜ん。爪がはげちゃった」

 結局、諦めてサンには刀を使わせることにするモロであった。

●もののけ停め

アシタカ 「もののけも足を止めるという伝説の場所はここなのか!?」

 しばし待つアシタカ。
 雨が降っている。
 突然、巨大な猫が走って来て立ち止まる。

ネコバス 「にゃおうん」

●もののけ舐め

アシタカ 「どうすれば、サンは心を開いてくれるのだろう? そういえば、動物は舐めることで親愛の情を表すと聞いたことがあるぞ」

 さっそく、サンを舐めに出向くアシタカ。

サン   「きゃー、変態!(ばこっ)」

 舐める場所を間違えたアシタカであった。

●もののけヌメ

アシタカ 「タタリは、ヌメヌメして気持ちが悪いと思うのだが。サンよ、そなたは、どう思う?」
サン   「タタリは好きになれない。でも、ヌメヌメネチョネチョは好きだ」
アシタカ 「ぬ、ヌメヌメネチョネチョ!?!?」

 つい期待してしまうアシタカであった。

サン   「ほら。これだ。モズクという食べ物だが知っているか?」

●もののけ呑め

アシタカ 「うーん、どうすれば、森の神々と、人間達の争いを止めさせることができるのだろうか。そうだ、宴会だ。酒を酌み交わせば、仲良くなるに違いない」

Illustrated by たけしのたけし
 さっそく宴会を手配するアシタカ。
 ところが。
 森の神々は、うわばみだった。
 エボシはじめ、タタラ場の女達もうわばみだった。
 あっさり空になる酒樽。

モロ   「酒は無いのか!」
エボシ  「そうだ。酒を寄越せ」
乙事主  「酒を持って来ねば、踏みつぶすぞ」
トキ   「アシタカ様、お願い、あともう一杯」
アシタカ 「すまぬ。もう酒はないのだ」
一同   「なんだって!?!?」

 森の神々+タタラ場連合軍に袋叩きにあるアシタカであった。
 尊いアシタカの犠牲によって、和平は成立したのである。合掌。

●もののけ羽目

モロ   「サン、誇り高き我ら一族は、どんな時でも、羽目をはずしてはいけない」
サン   「羽目をはずすって、どういう意味ですか?」

 説明するモロ。

サン   「よくわかりません」
モロ   「しかたない。実際にやってみせよう」

 岩棚の隙間に隠してあった酒を飲んで、無礼講状態になるモロ。

モロ   「は、しまった。やってはいけないと教えながら、やってしまった」

 実は酒好きのモロであった。

●もののけ秘め

Illustrated by たけしのたけし
 もののけであろうと秘めたる思いはある。
 実は、サンにも初恋の相手がいたのだ。
 それは、コダマのコダちゃん。コダマにしては整った顔立ちであった。
 しかし……。

コダちゃん 「サンちゃん、遊ぼ〜」
サン    「もうおまえは飽きた」
コダちゃん 「え〜、なんで〜?」
サン    「アシタカの方が、いい男だ」

 実は面食いのサンであった。

●もののけ踏め

アシタカ  「ジゴ坊よ。えすえむとやらは、ちっとも楽しくないぞ」
ジゴ坊   「おかしいですな。では、この女物の下駄で、強く踏んでもらうと良いでしょう」
アシタカ  「それで気持ちよくなるのか?」
ジゴ坊   「保証しますよ」

 アシタカはさっそくサンのねぐらに向かう。

アシタカ  「もののけの姫よ。我をこの下駄にて踏め」
サン    「よく分からないが、アシタカの頼みなら」

 下駄をはいてアシタカを踏むサン。

サン    「どうだ、気持ちが良いか?」
アシタカ  「さ、さあ?」

 痛いだけのアシタカであった。

●次回予告

Illustrated by たけしのたけし
 君達に最新情報を公開しよう。
 実は、筆者のメモには、まだまだネタが並んでいたのだ。もののけ誉め、もののけ豆、もののけ見目、もののけ揉め、もののけ病め、もののけ夢、もののけ夜目、もののけラメ……。
 読者の反響が良ければ執筆の可能性もあるぞ。
 次回もののけパロディ劇場PART2に、ファイナルフュージョン承認!(か?)


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