多摩の夜明けをみにいくのこと

EastWind (XSG19897@pcvan.or.jp)


 11月になったある夜中、数人の馬鹿が集まって相談をした。ちょうど温泉帰りで気分も良かったのが間違いのもとだった。

 途中などと、正気のサジェスチョンも入ったのですが、もっぱらの雰囲気を狂気が支配する中、桜が丘の夜明けを見にいく計画はスタートしたのでした。

 話がまとまり、寝たのが12時過ぎ。目覚ましの大音響で起こされたのはちょうど4時でした。空は快晴で、星が輝いていました。(都会の空には数えるほどしか見えませんけど)

 さすがの大都会もこの時間にはほとんど車はありません。あっというまの5時すぎに桜が丘団地へ到着。「ここじゃあやっぱりみえない」ということで、読売ランド方面へ向かいます。良好なロケーションを探してうろうろと30分、読売ランドを半周したところで、ついに池袋〜品川まで一望できる場所を発見しました。残念ながら多摩川は見えません。

 時刻は6時10分前。空の色が濃い紫色から刻一刻と変化していきます。高層ビルにかかる朝もやがはっきり見渡せます。素晴しい朝…。

 ところが…。

 実際にいくまでもなく、考えれば判ったはずですが、太陽が登る位置がずいぶん映画と違うのです。現実には新宿から約45度右の方向から太陽は出てきました。当然ビルに当たる光も右から当たってます。山がじゃまをして、日の出の瞬間は見ることができませんでした。読売ランドに忍び込めばよかったんですが、その勇気はありませんでした。

 もう一度桜が丘に戻ってみると、桜が丘の頂上付近、「天主の丘」の碑が立っている付近から東をみると、ちょうど住宅のすき間から新宿のビルだけを覗くことができるのがわかりました。

 そのあと、早起きで疲れている人間がうとうとと寝ている間に福生まで連れて行かれてしまったとか、また温泉にいったとか、温泉のあとで秋葉原に行き、さらに羽田空港まで行ったとか、そんなことはみなあとのお話です。


「耳をすませば」に戻る
「風使い通信 vol.8++」に戻る


風使い工房に戻る