伝統ゲーム


弾棋

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名称弾棋(だんぎ・たぎ)
概要  2人用の遊戯。下図のような中央部が高くなった盤をはさんで向かい合い、縁に碁石を並べる。 相手の石に向けて自分の石を指で弾き、相手の石を落とすことを目的とする。

 中国の古い書物、歴史書や物語にしばしば登場する。魏の初代の王、曹丕(曹操の子) は弾棋が巧だったという記述もある。『弾棋経』『弾棋賦』といった弾棋が題名の書籍も あるが、詳しい遊び方は不明である。『芸経』という本には、2人で対局し、それぞれ 白黒6個ずつの駒を持つと書いてあるが、そうでない記述の本もある。駒を弾くという ことは共通だが、時代や地域によって道具やルールが異なっていた可能性も高い。

 奈良の正倉院には「木画螺鈿双六局」というものが収蔵されている。中央が高くなっており 双六盤としては不自然であり、弾棋の盤ではないかという見解もある。

 平安時代に書かれた紫式部の『源氏物語』椎が本の巻には、 「(匂宮は)所につけたる御しつらひなど、をかしうしなして、碁、雙六、弾棋の盤どもなど取出でて、心々にすさび暮らし給ひつ。 (その地にふさわしい設備を趣深く整え、碁、雙六、弾棋の盤などを取り出して、思い思いに一日お暮らしになっている)」 とあり、専用の盤があったことがわかる。
鎌倉時代に吉田兼好が書いた『徒然草』の171段には「碁盤の隅に石を立てて弾くに、向ひなる石を目守りて弾くは、当らず。 我が手許をよく見て、こゝなる聖目を直に弾けば、立てたる石、必ず当る。 (碁盤の隅に石を立て(これに向け)て(石を)弾くときに、向いにある石を見定めて弾くのでは当たらない。 自分の手元をよく見て、当てる石との間にある近くの碁盤の目を狙って弾けば、立ててある石に必ず当たるのである。)」 と書いている。これは碁盤と碁石を使って弾棋を行っていることを指していると考えられる。

・『雅遊漫録』(大枝流芳著)に見える弾棋盤

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