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双六で振り返るNHK大河ドラマ『平清盛』

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放映日題名競技者
2012年 4月 1日「ふたりのはみだし者」雅仁親王 対 清盛

 後半の準主役となる雅仁親王(後の後白河法皇、松田翔太)が初めて登場する回である。清盛の長男、清太(後の平重盛)を賭けて双六の勝負をする。雅仁親王が「負けたらこの子をもらうぞ。」と宣言し、焦った清盛はなかなか良い目が出ない。終盤、清盛が10以上出さないと雅仁親王が必ず勝つと言う局面(盤面図3)となる。清盛がさいころを振るのをためらっていると清太が寄ってきてさいころを振ってしまう。目は10。喜んで清太と駒を進める清盛。怒った雅仁は駒を払いのけ、双六盤を振り上げて子供の上に振り降ろそうとする。清盛は子供をかばい雅仁親王に剣を向ける、というシーンである。
 本番収録となると、あたりは暗く静かになり雅仁親王の押し殺したセリフが冷たく響く。いよいよ最後の手。清盛が半歩退いて頭を下げ「お許しください。」雅仁「ならぬ。賽を振るのじゃ。」さあ清太君の出番と言うところで…、何と清太君は泣き出してしまうのである。当然カット!。セットが明るくなりマネージャーさんが清太君の涙を拭く。幼いながらも彼は、前日のリハーサルで自分がさいころを振ると横にいるお兄さんが思いきり駒を払いのけ、恐ろしい形相で双六盤を振り上げ大声で怒鳴ることを知っている。それが怖くて泣き出してしまうのだ。松田翔太さんも松山ケンイチさんも、笑顔になって「大丈夫だよ〜、お兄さんバーンってやらないからね〜」と必死になだめるのだが、「はい、本番」となり暗くなって静かになるとまた泣き出す清太君。カット。時間は刻々と過ぎる。すでに夜だ。気にするスタッフたち。労働法の関係で子供は8時までしか使えないのだ。どうする!?
 結局撮影を強行することで決定。清太君が泣こうがわめこうが予定通りということで本番撮影は始まった。「お許しください」頭を下げる松山清盛。清太君は泣きながらもちゃんとさいころを振った。10の目が出たことにし、清盛は「十じゃ、十が出たぞ。さあ、駒を進めるのじゃ。」雅仁親王は怒り、駒を払いのけて双六盤を振り上げる。もちろん清太君は大泣き。迫真の演技ではなく本当に怖くて泣いていたのだ。清盛に剣をつきつけられ傍らに双六盤を放り出す松田雅仁。そのまま庭へ降りてカット。清太君はマネージャーに抱かれて泣きわめきながら控室へ。さてこの後である。双六盤は元に戻され、私は飛び散った駒を探し、最後の局面に戻す(これが結構大変!)。松田翔太さんは控室に帰ったが松山ケンイチさんはそのままセットに残り、待つこと数分。再び清太君登場。そう、子供の機嫌はすぐ直るので、さいころを振るシーンのみこれから撮るのである。隣の怖いお兄さんはいないしセリフ待ちもない。清太君は泣かずにさいころを振って収録は無事終わったのである。目出度し目出度し。

 


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